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【IGAS '99 レポートVol.4】DTPソフトは大物を前にした嵐の前の静けさ。注目の出展は秋のSeybold Japanか? スクリーンのGTRAXが参入し、印刷向け高速通信は競争激化

1999年09月24日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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アドビ、クォークの出展はなし。『Adobe InDesign』日本語版の登場はいつ?

DTPを出展の要の1つとしてきたIGASだが、“IGAS '99”では、DTPソフトの2本柱といえるアドビシステムズとクォークジャパンは出展しなかった。アドビシステムズは、すでに米国で発売が開始されている『Adobe InDesign』の日本語版が待たれており、同製品が投入されれば、クォーク社の『QuarkXPress』との対決は必至だ。
 
そうした状況から、Adobe InDesignがどのタイミングでユーザーが目の当たりにできるのか、注目が集まっている。残念ながらDTPソフトの日本語ローカライズは、通常のソフトのそれとは大きく異なる。大変、労力と細心の注意が必要な作業となる。開発については、順調に進んでおり、秋にはという声とともに、年を越すかもともささやかれており、真実は闇の向こうだ。
 
そうした状況の中、会場では住友金属システム開発の『SMI EDI COLOR』や、方正の『Founder FIT』の最新バージョンが目立っていた。

EDI COLORは、Windows版が面付けに対応

写植にも劣らない強力かつ美しい日本語組版で一定の評価を得ているSMI EDI COLORは、3.0.5アップデータを紹介していた。この製品は、Macintosh版、Windows版の完全互換を大きな特徴の1つとしている。今回、Macintosh版ではすでに実現していた面付けソフト『FACILIS IM Ver.3.0』(三菱製紙)との直接連動をWindows版でも可能とし、Macintosh版と同等のワークフローを実現した。また、主要和文PostSciptフォント106書体への追加対応などさまざまな機能を実現した。

また、中国北京大学生まれの『Founder FIT 2.5』は、ダブルバイトに大変強いWindows DTP専用といえる。データベースとの連携も強力で、CSV形式でのデータベースから情報の取り込みが可能で、自動組版などを容易に実現できる。また、Windows版ならではの機能として、Micorsoft OLE対応によりWordやExcelのファイルをそのまま張り付けることができる。

このほか、誠伸商事では、アスクの自動漢字かな変換ルビ振りソフト『ルビFREE』を出品していた。ルビFREEはその名の通り、自動的にルビを振ってくれるQuarkXPress XTensionだ。15万語が登録済みで精度は95パーセント以上、5000文字を10秒前後でルビを振るという。これによって、これまでオペレーターや編集者が数十時間も掛かって振っていたルビをほんの数分で終えることができる。

GTRAX、Vio、WAM! NET。役者が揃った印刷向けネットワークソリューション

通信分野では、NTTの定額化や常時高速接続など、一般ユーザーにとって何かと気になる話題が多い。通信分野だが、印刷・製版にとっても同様に通信関係の競争が激しくなっている。印刷・製版の納品といえば、データをMOディスクに入れて営業マンが運んだり、実際に製版フィルムを移動させたりといった、いわゆるスニーカーネットが現在でも主流だが、通信の大容量対応などで、この分野にも通信による高度情報化が進みつつある。

左から、GTRAX(大日本スクリーンブース)、Vio、WAM!NETの各ブース。いずれも力の入ったブース展開
左から、GTRAX(大日本スクリーンブース)、Vio、WAM!NETの各ブース。いずれも力の入ったブース展開



先だって、大日本スクリーン、富士写真フイルム、NTTコミュニケーションズの3社が協同で提案する高速ネットワークソリューション『GTRAX』が参入し、既存の『Vio』、『WAM! NET』と競合で、印刷・製版向けの高速ネットワーク競争が始まった所といえる。IGAS会場においても、3者がそれぞれかなり大きめのブースを設置し、来場者の質問が絶えない、という状況だった。

HPとオリンパスがB0サイズ対応の54インチインクジェットプリンターを出品

各種印刷機をはじめ、デジタル印刷システムなど専用の出力機が展示の中心となっているIGASだが、いくつかのインクジェットシステムも出品されている。その中で最も多いのが、大判ポスターなどに対応できる大判フルカラーインクジェットプリンターだろう。

この分野はほとんどのインクジェットプリンターのメーカーが参入しているが、今回は、日本ヒューレット・パッカードとオリンパスが出展していた。いずれの目玉もB0サイズ、54インチ幅の出力に対応するプリンターだろう。

オリンパスは、54インチ対応の『PJ 54000』とA0サイズ対応の『PJ 3400』を出品していた。PJ 3400は、A0サイズのフルカラーポスターを標準モード(360dpi)で出力した場合、4分という高速出力を実現しているという。

日本ヒューレット・パッカードは、54インチ対応の『DesignJet 3800CP』とA0対応の『DesignJet 2800CP』を出品した。いずれも日本語PostScript 3サーバー『Fiery』を搭載しており、さらに高品質な出力に対応している。

日本ヒューレット・パッカードのDesignJet 3800 CP(左)とオリンパスのPJ 54000(右)
日本ヒューレット・パッカードのDesignJet 3800 CP(左)とオリンパスのPJ 54000(右)



こうした大判出力はなにもカラープリンタメーカーだけのものではない。

デジタル印刷機の先駆けでもある日本アグフア・ゲバルトの『Chromapress』は、ロール式の用紙供給を生かしたポスターサイズ出力を可能にしている。

ブースではコンパニオンの女性を等身大? で出力したポスターをはじめ、電車の中吊りを意識した出力見本などすでに利用されているサンプルを紹介していた

日本アグフア・ゲバルトのCHROMAPRESSは出力サンプルを豊富に展示していた(右)。また、等身大に出力したコンパニオン女性のポスターを掲げて、CROMAPRESSのデモを行なっていた(左)
日本アグフア・ゲバルトのCHROMAPRESSは出力サンプルを豊富に展示していた(右)。また、等身大に出力したコンパニオン女性のポスターを掲げて、CROMAPRESSのデモを行なっていた(左)

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