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米ルーセント・テクノロジーと岩崎通信機が戦略的提携を発表

1999年09月22日 00時00分更新

文● 浅野純一

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米ルーセント・テクノロジー社と岩崎通信機(株)は21日、日本における事業提携を行なうことを発表した。中小規模の事業所向けに音声とデータを統合した通信機器に関する戦略的なもので、今後、ローカライズやマーケティング、メンテナンスサービス、販売流通、開発製造における各分野で共同作業を行なう。発表会にはルーセント社のビジネス・コミュニケーションズ・システムズ(BCS)のインターナショナル・セールス&サービス部門担当プレジデントのデビッド・ジョンソン氏と岩崎通信機の寺西昇社長らが出席した。

戦略的提携について説明するルーセント社のジョンソン氏。大規模事業所向け市場でトップを堅持する同社が、日本の手つかずのまま残っている中小規模の市場に本腰を入れてきた
戦略的提携について説明するルーセント社のジョンソン氏。大規模事業所向け市場でトップを堅持する同社が、日本の手つかずのまま残っている中小規模の市場に本腰を入れてきた



岩崎通信機の社長、寺西氏。この提携による50億円近い売り上げアップを見込んでいると話した
岩崎通信機の社長、寺西氏。この提携による50億円近い売り上げアップを見込んでいると話した



ルーセント社はもともとその生い立ちを生かした公衆網や大規模事業所向けのPBX、ネットワークシステムなどで大きなシェアを持つ企業で、ワールドワイドで15万人の従業員を抱え、'98年会計年度で約300億の売り上げを誇る。一方の岩崎通信機は企業向けのビジネスホンやPBX、家庭用電話機、各種計測機器を手がける老舗メーカー。岩通の略称で知られている。

提携を記念して握手を交わす両氏
提携を記念して握手を交わす両氏



今回両者が提携したのは、ワールドワイドでの事業を展開するルーセント社が今後自社で得意とする大規模事業所から、より普及が見込まれている中小規模事業所の市場を開拓する際に必要なパートナーを欲したため。昨年6月のアプローチ以来、岩通側と折衝を重ねてきたものだ。岩通側も、今後市場がデータと音声を統合的に扱うハイブリッドシステムを必要とする流れにあるなかで、社内的にも事業部の再編成を行ってきたが、IP技術で先行するルーセント社との提携にメリットがあると判断した。ルーセント社は同社が抱えるベル研の技術開発力とIPベースの技術や製品を提供する一方、岩通は60年以上の実績によるブランド力や日本での販売チャネルを提供し、またローカライズ、製品開発も担当し提携によるシナジー効果を見込んでいる。

現在、電話は電話、データはデータと個別に機器を設置、ラインを引いているが、今後は電話(音声)もパケットに乗せることで、ネットワークに統合される方向にある。電話をかけてくるユーザーとの接点になるコールセンターや、自動音声応答など電話とコンピュータを統合したCTI(Computer Telephony Integration)や、音声をIPパケットに乗せるVoice over IP技術などが両者が狙うところだ。今後は共同ブランドによる製品開発、岩通によるルーセント製品のサポート、ベル研と岩通エンジニアによる共同開発、ルーセント製品の岩通による製造など、提携の内容は多岐にわたる模様だ。

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