2008年7月発表の「GX200」が、アスキー総合研究所の「ユーザー“ナットク度”ランキング」で1位を取るなど、プレミアム・コンパクトが人気のリコー。
スタンダードモデルとして2003年から発表していたRシリーズが終了し、新シリーズ「CX」が登場する。その第1弾として2009年3月中旬にリリースされるのが今回の「CX1」だ。
広角・高倍率ズーム搭載モデルがさらなる深化
CX1は「RICOH R10」(関連記事)から、広角28mmからの光学7.1倍ズームや、1cmまで近付けるマクロ機能は踏襲。一方で、新画像処理エンジン「Smooth Imaging EngineⅣ」やCMOSセンサーなど画質面を強化している。「画素出力補完アルゴリズム」によって、RGBの3原色のうち、飽和しやすいG(グリーン)の情報を周囲のR(レッド)、B(ブルー)の情報から予測。従来比で+1EVのダイナミックレンジ拡大が可能だという。
また「ダイナミックレンジダブルショット」機能では露出の異なる2枚の写真を撮影し、それぞれの適正露出部分を合成することで、明るい部分から黒い部分まで人の目に近い印象で再現できる。最近流行のHDR(ハイダイナミックレンジ)と同じ仕組みで、考え方としては、先日発表された「FinePix F200EXR」(関連記事)の新CCD(ハニカムEXR)に通ずるものがある。
カメラが自動検出した7つの合焦距離を毎秒10コマの連写で連続撮影する「マルチターゲットAF」を使えば、後から好きな場所にピントが合った写真を選べる。構図さえ決めておけば、気楽にシャッターを押しても失敗することがない。もともと1cmマクロを持っているためリコーは接写に強いイメージがあるが、たくさん花が群生する接写シーンなどではこの機能が役立つだろう。
また、秒間最大120コマの「超高速連写」(640×480ドット、最大120コマ)機能が搭載された。120コマの画像が並んだ1枚の静止画として出力されるため、EX-F1のスローモーション動画とは若干意味合いが異なるが、動きを連続して撮影し、お気に入りのシーンだけを切り出すことは可能だ。
リコーは高画素競争に走らない
コンパクトデジカメの多くが1200万画素CCDを搭載しているケースが多い中、CX1は有効画素数929万画素のCMOSセンサーを採用した。
リコーのパーソナルメディアカンパニーの福島俊雄氏は、「表現の幅を広げる次世代の高画質は必ずしも高画素の方向ではなかった」と述べる。むしろ、AF/AEやダイナミックレンジ、オートホワイトバランスの調整などが簡単に扱えるほうが、リコーにとっての「高画質」を実現できると考えているようだ。
このクラスでは23万ドットの液晶ディスプレーを採用する機種が多い中、あえて3型92万ドットの見やすい液晶モニターを採用したのも、「撮影のためのファインダー」としてモニターを頻繁に使用するユーザーの利便性をより優先した結果だという。撮影領域の拡大が同社コンパクト機のコンセプトのひとつになっている。
R8から採用された独特のデザインを踏襲し、リコーファンには嬉しい1台となったCX1。カラーリングは3色。ブラック、シルバーに加え、R10にあったブラウンがなくなり、シャンパンロゼが追加された。電池寿命はCIPA測定基準で約270枚。価格はオープンプライスで、店頭価格は4万円台後半になる見込み。