(株)リコーの普及型デジタルカメラとしては従来“Caplio”(キャプリオ)シリーズがあり、独特の横長ボディーと広角に強いレンズが特徴だった。「RICOH R8」(関連記事1)は、Caplio Rシリーズの流れを汲む製品で、2007年発表の「Caplio R7」(関連記事2)の後継・上位モデルに当たるが、本機から同社のデジカメ製品ではCaplioの名前を廃して、よりシンプルなネーミングとなった。
ボディーデザインも一新し、無駄な曲面の多用は避けたシンプルなラインとなった。金属パネル1枚構成の上面やフラットな前背面、両端もシンプルな円筒形になっているなど、銀塩35mmコンパクトカメラのクラシックなモデルにも似た雰囲気となっている。
CCDシフト方式の光学式手ぶれ補正機能の搭載や広角28mmからの光学7.1倍ズームレンズなどのスペックは従来機R7を継承しているが、撮像素子が1000万画素へと高画素化したことに加えて、背面の2.7インチ液晶ディスプレーが46万画素(ハーフVGA相当)に高精細化したのは大きな特徴だ。
外観的な違いはデザインだけでなく、操作部にも改良が施されている。従来Caplio Rシリーズではカーソルキーを中心としたメニュー操作のほかに、“ADJボタン”という独立したボタンで呼び出せるクイックメニューが用意されていた。R7からADJボタンは上下左右への方向入力の機能を持つ“スティック”となり、呼び出したクイックメニューを即時選択・決定する操作がスムーズに行なえるようになった。本機ではさらに、ADJボタンがカーソルキーと一体化して操作系は大幅にシンプルになった。操作性そのものは大きく変わっておらず、ADJボタンを押せばADJメニュー(設定によって露出補正やISO感度などから4つまで登録可能)を呼び出し、そのままスティック操作で選択・決定する。メインメニューはADJボタンのMENU機能で呼び出し、ADJボタンの方向入力を使って選択・決定するだけだ。従来カーソルキーの4方向入力にアサインされていたマクロモード、フラッシュモードの切り替えは、そのままADJボタンの左右に移動している。同社ハイエンドデジカメの“GR”シリーズでもADJレバーと呼ばれるダイヤル状の入力装置があるように、同社のデジカメに共通する操作コンセプトであり、他社製品でもカーソルとスティックを両方持つ製品はあるものの、やはり背面に2系統の方向入力デバイスが付いているのは機能的に重複しやすく、ユーザーから見ればまとめてあるほうが合理的だろう。
また同社GRシリーズと同様に、モードダイヤルには“MY1・MY2ポジション”が追加され、お気に入りの撮影モードを保存できるようになった。さらに電動ズームは2段階の可変速となり、シャッターボタン周囲のズームレバーを回す角度によって高速・低速となる。R7でも可変速ズーム機能は採用されていたが、メニューでズーム速度を高速/低速を切り替える必要があったのに比べると、直感的な操作が可能になり大きな進歩を遂げた。
このほか撮影時の機能としては、GR/GXシリーズのように縦横比1:1の“正方形フォーマット”が選択可能、AF点のマニュアル指定、マニュアル露出カメラのような“最小絞り撮影”、カラーブラケット(通常/セピア/モノクロ)が用意される。再生時では高精細液晶を生かして1画面に最大20枚のサムネイル表示や明るさ・ホワイトバランス調整、画像トリミングがカメラ内で行なえるようになった。