キヤノンのハイエンドコンパクト機に冠される「G」という文字。2000年にその初代モデルが登場してから、今回紹介する「PowerShot G10」(以下、G10)で8代目にあたる。
G10と同じ有効画素約1470万のCCDを搭載しているのは、各社のコンパクトモデルの中でも一握りだ。同系統のライバルと言えばニコンの「COOLPIX P6000」(有効画素約1350万)になるだろう。ただ、「COOLPIX P6000」がGPS機能、ネットワーク機能の搭載など、新たな付加価値で勝負しているのに対し、G10は機能の熟成に主眼を置いている。
どちらが正しいかは数年後の状況を判断しなければならないが、この時期にキヤノンが王道を進むのは興味深い。
40代(30代半ばも含む)を魅了するデザイン!
今回のG10を見て惚れ込んだのが、ゴツゴツとしたメカ的なイメージを強烈に印象付けている本体上部のダイヤル類だ。
左側には±2EV(1/3刻み)の調整が可能な露出補正ダイヤルを、ホットシューを挟んで右側にはISO ダイヤルと撮影モードダイヤルを重ねて配置している。よくよく考えてみれば、これは銀塩カメラのときには当たり前だったダイヤル配置で、40歳近くのオヤジがノスタルジーを感じるデザインとなっている。
ISO ダイヤルと撮影モードダイヤル、露出補正ダイヤルを表に出すことにより、じっくりとシャッタースピードと絞りを考え合わせながら、1つの作品を撮る――時間と知識の合わせワザで1つの画を作り上げる大人の楽しみはいかが?――と語りかけられているようだ。
こんなことを書くと「そんな機能、どのメーカーもメニューの中にあるじゃないか」と突っ込まれそうだが、この瞬間を撮りたいと思ったときに、いちいちメニューを掘り下げて、ピピッと変更するのは手間がかかるし、オヤジにとっては興ざめなのである。
やはりカメラと言えばメカ式で、フィルムを巻き上げる音、シャッタースピードや絞りを変えるときの音がカメラの原点というオッサンは筆者を含めて多いはずだ。
だからこそ、このアナログなダイヤルに“萌え”を感じるのである!(オッサンが萌えって言うな!というのは却下だ)