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殺したいくらい愛したい! 最新最後のヤンデレ特集!

Love or Die! 彼女はヤンデレ? それとも病んでる? 前編

2008年09月04日 20時00分更新

文● かーず

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歴史

1.「ヤンデレ」以前から存在する病んでるヒロイン

 そもそも恋愛のもつれ、嫉妬心から修羅場や破滅に発展する話には事欠かない。森鴎外「舞姫」のエリスが男の身勝手な振る舞いで精神破綻を起こしたことや、スティーブン・キング「ミザリー」での偏執愛ゆえの監禁劇、「ジョジョの奇妙な冒険」の山岸由花子など、ヤンデレという言葉こそなかったが、その歴史はかなり古くから存在する。しかしこの頃は恐怖対象として捉えられているのみであり、そこに「萌え」属性を見いだす事はなかった。

 萌え系の作品に登場した初期の病んでいるキャラクターとしては、1996年のLeaf「」における過去のトラウマから心が壊れてしまった月島瑠璃子や、1998年のSCE「ダブルキャスト」の二重人格者である赤坂美月(本名・志穂)などが1990年代を代表するヤンデル女の子として取り上げられることが多い。

2.「ヤンデレ」ヒロインの誕生

 そこにデレ要素の入るヤンデレヒロインとなると、2000年ねこねこソフト「銀色」の佐々井夕奈を挙げずにはいられない。想いを寄せていた青年と信じてきた妹が結ばれた時、優しかったお姉さんの姿は嫉妬心で豹変! 罵詈雑言を叩きつけて妹の首を締め上げるという凶行に、当時の萌えユーザーは戦慄したものだった。

ひぐらし

同人ゲームから大ヒットした「ひぐらしのなく頃に」。今でも何かと世間を騒がせる、影響力の大きい作品

 また、2001年age「君が望む永遠」の穂村愛美は、一途な愛が度を超しているために、主人公をベッドに縛り付けて監禁、世間から隔離する。プライドから社会的地位から、何から何までを奪って自分だけのものにしてしまう描写が淡々と主人公視点で描かれている点は、フィクションとわかっていながらも恐怖を覚えずにはいられなかった。

3.「ヤンデレ」属性の広がり

 その後2004年07th Expansion「ひぐらしのなく頃に」の大ヒットもあり、オタクたちの間に猟奇的なヒロインを受け入れる土壌が次第に出来ていく中、美少女ゲーム「School Days」(オーバーフロー)が2005年に発売された。

 ヒロインの桂 言葉は付き合っていた恋人を、親友である西園寺世界に奪われて心に異常をきたし、毎夜二人の情事を盗み聴きすることを日課をしていたが、ふと足下に転がっているノコギリを見て狂笑する。翌日の朝、仲睦まじく登校する二人の前に立ち、世界の首筋にノコギリを当てて一言「死んじゃえ」と一閃! 世界は首筋から血を噴き出しながら絶命、ケタケタと笑い続ける言葉の衝撃的なエンディングが話題となり、プレイすると鬱な気分になる「鬱ゲー」として注目を集めた(※1)。

SHUFFLE!

原作ゲームとは違うキャラクター解釈のアニメ版「SHUFFLE!」

 また同年の夏に放映されたアニメ「SHUFFLE!」における芙蓉 楓が、幼なじみの帰りを待ちながら料理の入っていない空の鍋を虚ろな瞳でかき回すという精神異常をきたした献身行為がピックアップされ、言葉と楓という二大ヒロインによってここに「ヤンデレ」という言葉が生まれて、広く浸透するきっかけとなった。




※1 勿論それだけのキワモノ作品ではなく、ごとうじゅんじ氏の描く美少女の可愛らしさやフルアニメーションなど、大ヒットするに相応しい名作であることを付記しておく

4.「ヤンデレ」ブーム到来

Gift

エアー糸電話が衝撃的な「Gift~eternal rainbow~」

 2006年のアニメ「Gift ~eternal rainbow~」第9話では、相手の居ない糸電話に話し続ける木乃坂霧乃の通称・エアー糸電話を経て、翌2007年、アニメ版「School Days」最終話においてヤンデレ描写はピークを迎える。世界は恋人の伊藤 誠に妊娠したことを告げると、浮気性の彼は世界を捨てて言葉を選ぶ。すると絶望した世界は誠を包丁でめった刺しにして殺害。一方、誠と復縁して一度は回復した言葉の精神は、愛しい彼氏の死体を見たことで再び闇に墜ちる。さらに世界を惨殺し、そのお腹を切り裂いて妊娠しているかを確認して、

やっぱり嘘だったじゃないですか……。中に誰もいませんよ

 そして言葉はクルーザーで船出をするという、鉄分の匂いが漂ってきそうな陰惨な結末になっている(※2)。

 他にもヤンデレ属性オンリーの同人誌即売会「病み鍋パーティ」が開かれ、インフォレスト社からは萌え属性に焦点を当てた「ヤンデレ大全」が発売されるなど、2007年はまさに「イヤー オブ ヤンデレ」と呼ぶに相応しい萌えの一大ムーブメントとなったのである。

ヤンデレ大全

今となっては入手困難な「ヤンデレ大全」(INFOREST刊)

※2 地上波ではこの最終話の放映が見送られて、その代わりにボートが優雅に水上を流れる環境映像がオンエアされた。そのキャプチャー画像を見た外国人の感想コメント「Nice boat.」は最終回放映中止の騒ぎと対照的なクールさで笑いを誘い、以降ヤンデレ描写やアニメ番組の放送中止の代名詞として「Nice boat.」という言葉が使われるようになる。

5.「ヤンデレ」の現在

 今も進行形で注目されているヤンデレとしてはまず、えすのサカエ氏が月刊少年エース(角川書店)において連載している漫画「未来日記」のヒロイン・我妻由乃。クラスメイト・雪輝と結ばれるためならば、彼の母親であっても幼い子供であっても、コンビニに買い物に行くような自然さで、ためらいなく凶器を手に取って殺そうとする容赦のなさが連載当初から話題になっていて、実際に二人の障害となる人間を「アハハハハハッ!ちょろいっっ!」と斧で殺戮しまくる壊れっぷりが評判を呼んでいる。

未来日記

主人公以外を殺すことになんらためらいのないヒロインが話題を呼んでいる「未来日記」

 ほかには「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」も二枚リリースされており、始めはキワモノ扱いされていたヤンデレ属性も、感情表現の一つとしてすっかり定着したのが現在のヤンデレシーンと言えよう。

ヤンデレCD

「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」

ヤンデレCD

「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!」

(次のページへ続く)


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