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殺したいくらい愛したい! 最新最後のヤンデレ特集!

Love or Die! 彼女はヤンデレ? それとも病んでる? 前編

2008年09月04日 20時00分更新

文● かーず

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ヤンデレを医学的に分析! 精神科医 吉田 眞氏にインタビュー(続き)

──なるほど、自分では病気だと自覚できている人が精神科にかかると。では、話をバーチャルな世界に戻しまして、ゲーム版「School Days」の桂 言葉は、毎日相手の情事を盗み見るという異常な行動の末に、西園寺世界の首を斬り落とす行動に出ます。その一方、別のシナリオでは、相手のカップルに見せつけるように投身自殺を行い、トラウマを植え付けさせていました。攻撃が自分に向かうパターンと、外へ向かうパターンに分かれましたが、この2タイプはどこで分かれるのでしょうか? 内気な子が殺傷事件を起こしたり、明るい強気な子が自殺を見せつけるような逆の例もありますか?

【吉田】 自殺願望のある人は、対人コミュニケーションが上手くいかず、日常的に自分を責めるタイプの人です。しかし、殺人願望は普通、誰も持ってはおらず、それは激しい怒りによる一過性の破壊行為であったり、極度の恐怖を払拭するための防衛反応だったりするものです。

 「殺人は多くの人に迷惑をかける、自殺は死ねば全て終わる」そうした認識が一般にあることを考えると、人が究極に追い詰められた時にどのような選択をするかは、その人の普段の良識にかかってくるものと考えられます。攻撃を加えるということに関しては、どちらも根本的なものは変わりません。自分の中にある激しい怒りがベースとなっています。攻撃性が内に向かうという人は、それまでの生活の中で人に対して怒りをぶつけたことがない人。攻撃性が外に向かう人は、昔から人に対してワガママを言ったり、暴力を振るったりしていた人です。要するにどんな人生経験をしたかによって、どちらにでも転ぶ可能性はあります。内に向いている人も、他人に暴力衝動をぶつけることに目覚めちゃったら、そこから暴力的な人間になっていくでしょうし、その逆もしかりです。

──何かのキッカケで突然豹変してしまう可能性は多いにあるということですね。それでは、ヤンデレというジャンルが「萌え」として認知されている、オタク消費者の心理って何でしょう? 怖いモノ見たさですか? それとも自分だけを愛してもらいたい願望の現れですか?

【吉田】 ヤンデレの魅力は、閉鎖された人間関係内でのストレス反応と、エロティシズムの高ぶりを、継続的に見てゆくことができる「劇場型のドラマ性」にあるのではないでしょうか。ひとりの女性が悩み崩れていく様子を追っていくのは、ドラマとしてわかりやすいし、最終的に破滅的な行為に及ぶのは、抑圧されていたものを爆発させるというカタルシスで、ワリと日本人好みだし、不謹慎ですが爽快感もありますよね。

 募る性的衝動と破壊衝動を満たすヤンデレ作品は、昔から存在する悲劇的・文学的な恋愛ドラマに現代的なアレンジを加えたものだと考えられます。病んでしまうほど好きになるという話は、神話とかでもありましたよね。逆にヤンデレでない開放的なエロと言えば、既存のAVやエロアニメなどの、浅くて乱交的なイメージです。そういうのは視覚的なバリエーションは豊富ですが、日常の人間心理を描写しているわけではないので精神的な奥深さがありません。

 人の不幸は蜜の味じゃないですけど、覗き見的な感覚は、いつの時代でも娯楽ドラマになり得ますよね。

──では最後に、病んでるとヤンデレの違いを教えてもらえますか。

【吉田】 生活環境とか教育がいびつで、社会でうまくやっていけなかった人が、何かのきっかけで突然リストカットしたり、大量服薬したりするのは病んでる状態ですね。これは先ほど言った「境界型人格障害」の範疇です。感情の起伏が激しくて、発作的に事件を起こします。治療に来る人もいれば、来ないでまわりを引っかき回している人もいますね。今まではワガママを押し通してきたものが処理できなくなった、ストレス反応の処理がうまくいかずに病気になった人などをひとまとめで「病んでる(ヤンデル)」と言えるでしょう。病気なので、治療すれば治ることもあります。

 「ヤンデレ」は、「各種精神疾患の要素を持ちつつも、治療対象に認定されるまでには至らない状態の、恋愛に特化した異常性」とも定義できます。医学的に病気ではないので、医療にかかることができません。社会的にはうまくやれているので、普段はまったく問題ないんですよ。今回のテーマで言うと、好きな人の前だけ病んでる状態になり、思い詰めていき、最終的には破滅に向かう人。こういうタイプの人は友人や親が病院へ連れてきても、良い子のままなので医者としてもカウンセリングのしようがありません。なんせ自分では病んでいると思っていないのですから。

 わかりやすく言うなら、診察可能なのが「病んでる(ヤンデル)」、診察範囲外なのが「ヤンデレ」。精神科医として定義づけるならこんな感じでしょうか(笑)。

──これはわかりやすいですね(笑)。今回はありがとうございました。

(次のページへ続く)

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