アプコンもエンコもパーフェクト! その実力をご覧いただこうッ!
SpursEngineは、PlayStation 3やスーパーコンピューターなどに使われるマルチコアプロセッサ「Cell」をベースにしたもの。主にAV用途で使われる4個のコアと128MBの専用メモリ、H.264/MPEG-2向けのエンコーダー/デコーダーを組み込んでいる。
このSpursEngineが稼働することで、CPUやGPUに大きな負荷をかけずに高度な処理ができるというのだ。
まずは、DVDビデオなどのSD画質をより高精細に見せるアップコンバート機能を試してみる。対応の再生ソフト「TOSHIBA DVD PLAYER」で自前のDVDを再生し、機能のオン/オフで画像を比較してみた。
アップコンバートを有効にすると、岩や葉の輪郭がくっきりと表示され、全画面表示した際もぼやけた印象は受けなかった。SpursEngineの4コアはほぼすべて100%の稼働率となったが、CPU稼働率は無効時からほとんど変化していない。実際、PCの動作が重くなるといった挙動も確認できなかった。
ちなみにQosmio G50シリーズは地デジ番組を8倍録画で長時間残せることをウリにしているが、その際の映像はビットレートを2.0Mbpsまで下げたSD画質となる。通常は長時間の鑑賞が辛い画質だが、アップコンバート機能を利用すれば、ある程度は実用できるレベルまで引き上げられるわけだ。
つづいては動画の変換処理。AVIやMPEG-2(ビットレートが16~20Mbps程度で、DVDに書き込むには再エンコードの必要があるもの)など、複数の動画データ計500MBをDVDに書き込むことにした。エンコードにかかった時間を計測したところ、こちらも大きな効果があらわれた。
対応の映像編集ソフト「DVD MovieWriter for TOSHIBA」で試したところ、8分15秒という結果に。筆者のマシン(Phenom X4 9550/DDR2メモリ2GB/Ulead VisdeStudio 8)で同じ処理に約20分を要したことを考えると、劇的に高い性能といえる。
しかもCPU使用率も60%台で安定しており、メールチェックやブラウジングなど、他の作業が並行できる余裕もあった。なお、公式アナウンスでは「従来の10倍」というMPEG-4 H.264フォーマットのエンコードについては後編で扱う予定だ。