モバイルモデルの「S300M」との棲み分け
前述の通り、Mac対応の「ScanSnap」シリーズには上位モデルの「S510M」のほかに、ポータブルタイプの「S300M」もある。こちらは上位モデルの基本的な機能を受け継ぎつつ、大幅な小型・軽量化を果たしたモバイル用モデルだ。ここでは、そのモデル間の違いを紹介しよう。
本体は非常に小さく、A4サイズのノートパソコンと比較して、設置面積は半分程度。重さは約1.4kgと軽量で、出張などで持ち歩くにも適したサイズだ。こうした用途のために、別売りで専用のキャリングケースも用意されている(実売2980円)。
基本的な機能はS510Mに準じており、読み込み解像度も同じく600×600dpi。ただし、A3キャリアシートを使った読み取りには対応しておらず、読み取り速度はS510Mより若干遅い。またADFの給紙能力はS510Mほどではないが、連続10枚まで対応しているので、モバイルはもちろん自宅での作業でも十分な実用性だろう。
モバイルに特化した機能として、ACアダプターを使わずに、USBバスパワーでも動作する点が挙げられる。ただし、この場合は同時にふたつのUSBポートに接続しなければならないため、MacBook Airではバスパワー接続を利用できない点に注意したい。
なお、S510Mに付属する「Acrobat 8 Professional」がS300Mには付属しない。そのぶん安価なのでやむを得ないところだろう。ページ入れ替えや回転、メモの追加といった簡単なPDF編集であれば、Leopard付属の「プレビュー」で行えるので、簡単な編集であればこちらを使うといい。
S300Mは、ドキュメントスキャナーを持ち歩く必要があるヘビーなモバイルユーザーはもちろん、コンパクトな点を生かし、家庭内などで必要なときだけ取り出して使いたいというユーザーにも向いている。価格も安いため、ドキュメントスキャナーは使ってみたいが、多くの機能は必要としないユーザーの入門機としてもうってつけだ。
デスクトップで日々本格的に使い込むならS510M、モバイル用途もしくは利用頻度が低いのであればS300Mを選べばいいだろう。
【Conclusion】
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ワンプッシュでスキャンできる簡便さと、高速なスキャン速度が特徴。「S510M」には「Acrobat Professional」が付属し、ソフト単体よりもこちらを購入するほうがお買い得。
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Windows版に付属するOCRソフトの恩恵を受けられない。iPhotoとの連携など、Windows版にはない魅力を持つだけに、今後の対応に期待したい。
(MacPeople 2008年6月号に掲載予定)