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「未踏ソフトウェア」海外進出支援事業(その1)

IT再生の「のろし」を上げよ!──シリコンバレーに切り込んだ八人の侍

2008年03月11日 23時30分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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日本はシリコンバレーから何を学ぶべきか


リチャード・ダッシャー博士

リチャード・ダッシャー博士

 リチャード・ダッシャー博士は、シリコンバレーがどういうシステムかを流暢な日本語で説いた。ダッシャー氏は「日本でシリコンバレーを再現しようとしても、うまくいくわけではない。だから、日本でシリコンバレーからどういうところを学ぶべきかを考えることが重要だ」と訴える。

 ダッシャー氏が伝えたシリコンバレーの特徴は、以下のような具合だ。

  • 高学歴で移動性の高い労働力
  • ベンチャー投資家が大勢存在する
  • 起業に詳しい弁護士/会計士/ヘッドハンター/技術者/マーケティング/コンサルタントといった人材を豊富に抱える
  • 結果重視でありながら、リスクも尊重する社会的価値感を持つ
  • 常に多くの研究開発が行なわれている
  • 次の新しい波に合わせていつでも自己改革をできる柔軟性がある

 またリスクを取ることについて、「日本では『シリコンバレーは失敗に寛容』とよく言われるが、それは誤解です。シリコンバレーでは失敗時にその原因を分析することを重視している」と語った。

 これは容易ではないが、次の行動を起こすうえで非常に重要なプロセスでもある。ダッシャー氏は、日本の企業は失敗の分析における力が足りない、とも力説している。

 ダッシャー氏はさらに、シリコンバレーの投資家がリスクをとれる理由として、10社のうち5~6社も成功すれば、かなりいい方で、さらに成功率が低くても十分見返りが得られることなど、ベンチャー投資のからくりなどについても惜しみなく解説した。

 最後にはシリコンバレーから学ぶべきこととして4つの事柄を説く。

  • チーム作り
  • 投資家との関係作り(お金をすぐに受け取らないなど)
  • しっかりとしたビジネスプランを持つこと
  • コミュニティー作り(インフォーマルな交流が重要)


 9時間強のフライトを経て、シリコンバレーに到着するや、すぐにサンフランシスコの街に繰り出して観光。そのあとにスタンフォード大学で3時間の講演といった感じで、スーパークリエイター達の米国1日目は、かなりのハードスケジュールだった。しかし、参加者達は夕食後も眠気まなこをこする者もおらず、目を輝かせて自室に去って行った。

 明日は彼らにとっての本番、シリコンバレーの投資家達へのプレゼンテーションの日となる。はたして「八人の侍」の思いは通じるのだろうか。明日のレポートをお待ちいただきたい(2日目の記事はこちら)。


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