1年はおろか、早ければ3ヵ月で後継モデルが登場するコンパクトデジタルカメラ市場の中で、実に2年間も現役を張った(株)リコーの高級コンパクトデジカメ「GR DIGITAL」に、待望の新型が登場した。「GR DIGITAL II」(以下GR2)は、撮像素子が有効813万画素から有効1001万画素へと高画素化され、液晶ディスプレーは2.5インチから2.7インチへとやや大型化、画像エンジンの変更などが行なわれた新“GR DIGITAL”だ(関連記事1)。
GR2の外観は「あえて変えなかった」とのリコーの発表通り(関連記事2)、従来のGR DIGITALと非常によく似ており、GR DIGITALのロゴには「II」の文字すらない。外観上の違いとしては本体前面の外部AFセンサーがなくなったことと、本体左側面にフラッシュのポップアップ用アンロックレバーが加わったこと(従来機は自動ポップアップ)、さらに背面の液晶ディスプレーがわずかに大きくなっている程度だ。
GR DIGITAL II(左)と初代GR DIGITAL(右)の前面を並べて比較。一見すると従来のGRと変わらないフォルムだが、レンズとシャッターボタンの間にあった外部AFセンサーがなくなり、AF補助光イルミネータのみとなった。CCD像面検出AFの高速化によってAFセンサーがなくても十分AFが速くなったことによるものだが、実際従来機よりも高速だ
GR DIGITAL II(左)とGR DIGITAL(右)の背面を比較。やや液晶ディスプレーが大きくなったとはいえ、GRと同様な配置だ。ADJレバーはダイヤルから変更されているものの、デザインはほぼ変わりない。右端のズームレバーは光学ズームを持たない本機ではデジタルズームなどの機能を持つが、メニューで設定すれば露出補正などにもアサインでき、簡単な機能ならばADJレバーへの機能割り付けを使わなくてもよくて手軽だ
また、背面の操作部はほとんど変わりないものの、GR DIGITALではADJ機能が回転させる「ADJダイヤル」だったのに対し、GR2は左右に倒すレバーと押し込む機能を持つ「ADJレバー」になった。ADJレバーの操作で表示されるADJメニューは、設定により露出補正やホワイトバランス、ISO感度や記録画素数などの各種設定から4つまで登録できるのは従来同様だ。
内部的には新画像エンジン「GR ENGINE II」によってノイズの低減や各種処理の高速化が図られており、特にRAW記録時間はGR DIGITALの約11秒から約3.8秒へと大幅に短くなった。また、従来機ではRAW画像の記録中は操作できなかったのに対し、GR2では各種メニュー操作に加えて1枚だけならば撮影も可能となった。連写こそできないものの、露出を変えてもう1枚記録しておくといったことができるので非常にありがたい。
加えて、各種セッティングを記憶できるマイモード機能として、「MYMODE1/2」という2ポジションが上面モードダイヤルに用意されたほか、従来機ではJPEG撮影のみ対応だったアスペクト比1:1モードがRAW撮影でも可能となっている。
外部ミニファインダー「GV-2」を装着した状態。28mm用と28mm時の1:1矩形のフレームがあるだけなので、ワイドコンバージョンレンズを装着した場合は従来からのやや大きな外部ファインダー「GV-1」を使うことになる
GR2での目新しい機能としては、内蔵する加速度センサーにより、画面上に水平インジケーターを表示する「電子水準器」が新規に開発・搭載され、画面上の表示を見ながら水平を保って撮影できるようになった。電子水準器は画面表示、画面表示+音、音のみという3種類のモードから選択できる。「ピッ」という電子音による通知は外部ファインダーを使用している際にも水平が出ていることが分かるようにとの配慮だが、カメラを高く掲げるなどしてノーファインダー同然の撮影をするような場合にも、水平が来ているかどうかが分かるのでかなり便利だ。また、加速度センサーをカメラの縦/横位置検出センサーとして用いることにより、撮影画像は自動的に縦/横変換されて再生時に表示されるほか、Photoshopなどの対応アプリケーションでも読み取れるようになった。再生時にもセンサーは動作しているので、カメラを横にして再生すれば画像が自動的に回転して表示される。
