31日、マイクロソフトは2007年度のWindows Vistaの企業向け戦略を発表した。ビジネス市場におけるライセンス販売実績は対前年比29%増、2008年6月までの導入予定台数をあわせた現時点の導入状況は20万台を超える。これは前OS、Windows XPの10倍のスピードだという。
2007年度のライセンス販売目標は、対前年度比33%増の63万台
31日、マイクロソフトはWindows Vistaの企業向け戦略を発表した。
企業のソフトウェアにおける2006年のIT投資は対前年比4.2%増の2兆2200億円。ビジネスPCの出荷台数は2005年と比べてほぼ横ばいの895万2000台となっている。
Windows Vistaのビジネス市場におけるライセンス販売実績は2006年7月から2007年6月末までの時点で、対前年比29%増となっている。また、現時点で2007年7月から2008年6月までの導入予定台数をあわせた導入状況は20万台を超える。執行役常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏は「法人向けセールスは非常に好調に推移している。導入状況もWindows XPの約10倍のスピード」と自信を見せる。
Windows Vistaの企業導入促進に向けた取組みとして、佐分利氏は「需要喚起、互換性の確保、導入展開の3テーマに分けて展開していく」と語る。
需要喚起
ビジネスユーザーのWindows Vistaの需要喚起を目的に富士通や東芝などPCメーカー8社の協力体制の下、「Windows Vista Enterprise Ready キャンペーン」を31日より開始する。これは、新たなセキュリティやアプリケーション互換性などの新機能を備えたOS「Windows Vista Enterprise」の動作を確認したPCを「Windows Vista Enterprise Ready PC」として、各メーカーのホームページやカタログでPRを行なうというもの。現時点では行なわれていないWindows Vista EnterpriseのライセンスとPCのセット販売も今後は行なっていく。また、将来的にはWindows Vista EnterpriseがプリインストールされたPCも販売される予定。
互換性の確保
企業におけるWindows Vistaの導入・展開の支援とIT管理コストの削減および効率的な運用を実現するためのツールキット「Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance(以下、MDOP)」が7月1日より発売されている。MDOPは企業内のソフトウェア資産の管理レポートを作成し、ソフトウェア資産管理を行なう「Asset Inventory Service」や、エラーレポートを管理し、OSとアプリケーションの障害の分析を行なう「System Center Desktop Error Monitoring」など5つのツールによって構成されている。
このMDOPにはアプリケーションを仮想化する「Microsoft SoftGrid Application Virtualization(以下、SoftGrid)」というツールがあり、アプリケーションの仮想化によって複数バージョンの混在やOSへの依存を原因とした互換性の問題および管理の複雑化を解消できる。「全国6拠点に展開する商業施設ラフォーレ原宿はこのSoftGridの機能によって、Windows 2000用にカスタマイズされた会計用アプリケーションの依存問題を解決することができた」とWindows本部 プロダクトマネジメント部 部長 中川 哲氏はユーザーの成功事例をあげる。
導入展開
Windows Vistaの導入に必要な技術を導入フェーズに分けて紹介している「Windows Vistaの導入ガイド」ポータルをマイクロソフトのホームページ上で公開。また、ホームページ上でユーザー企業の展開手法をベストプラクティスとして公開することで、Windows Vistaを使用していないユーザーの関心を高める。また、パートナー企業の導入促進のサポート体制の強化も行なっていく。
なお、2007年度におけるWindows Vistaのライセンス販売目標は対前年度比33%増の63万台。内訳はエンタープライス市場において24万台、中堅中小企業の市場において39万台を予定している。