マイクロソフトとSAPジャパンは7月12日、都内で会見し、Microsoft OfficeをSAP ERPのフロントエンドに使う連携ソフトを発表した。両社が共同で開発したもので、販売・サポートも共同で展開する。
OutlookやExcelからSAP ERPが使える
「これまでは基幹業務にはERPを、勤怠管理には専用ソフトを、とユーザーは別々のソフトを使うのが当たり前だと思っていた。それが実は1つでできる。これは新しいパラダイムだ」。SAPジャパンのシニアバイスプレジデント、パートナー&マーケティング担当の安田 誠氏はこう訴える。
マイクロソフトとSAPジャパンは7月12日、両社が共同で開発したソフト「Duet for Microsoft Office and SAP」(以下、Duet)を発表、同日から販売を開始した。Duetは、SAP ERPをMicrosoft Officeから呼び出して利用できるようにするものだ。社内の利用部門が使う勤怠管理やデータ分析などのセルフサービスのフロントエンドに使う。
現時点で利用可能な具体的なシナリオ(機能)は、「タイムシート」「予算管理」「組織管理」「需要計画」「レポートと分析」「営業管理」など。たとえばカレンダーから休暇申請を行ない、それを上長が承認、SAPの人事管理機能に登録するといった一連の操作がOutlookで完結する。また、需要計画では、Excelのワークシート上でSAP ERPの最新のデータを呼び出したり、編集したデータを逆にSAP ERP側に保存することも可能である。
Duetがもたらすメリットは、先に安田氏が挙げたように、データの二重入力や、使い慣れたUIによる教育コストの低減が挙げられる。マイクロソフトの執行役専務エンタープライズビジネス担当の平井康文氏は、「Duetは“人”中心のプロセスを生み出すもの。これでOfficeが本当の意味でのシステムになる」と話した。
連携の対象となるのは、mySAP ERP 2004以降で、国内で現在も多くのユーザーが使うSAP R/3には対応しない。クライアント側は、Office 2003 Professional Enterprise Edition SP2に対応する。安田氏は、「Duetは(SAPが提唱するコンセプト)エンタープライズSOAの考えを分かりやすく具現化したもの。パートナーからも早く売りたいとの声をいただいおり、アップグレードのモチベーションにもなる」との期待を示した。
Duetの販売・サポートは、マイクロソフトおよびSAPジャパンの両社がそれぞれで行なう。価格はオープンだが、マイクロソフトから購入した際の参考価格は、2万8400円/1ライセンス。すでにNECや富士通など11社のパートナー企業が販売に賛同しており、「年末までに10~20社程度には販売したい」(安田氏)との目標を掲げる。
年内には新版の「Duet 1.5」の登場が計画されている。新たに購買管理、採用管理、契約管理などの機能追加と、カスタマイズツールの提供、Office 2007への対応を行なう予定だ。また、2008年の第4四半期に出荷が計画されている「Duet 2.0」では、SharePoint Serverとの統合が盛り込まれている。