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使い慣れたOfficeで生産性向上を――マイクロソフトがOBAをアピール

2008年01月23日 21時27分更新

文● アスキービジネス編集部

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マイクロソフトは、1月23日、報道関係者向けに「Office Business Applications」(OBA)に関する説明会を開いた。Officeを基幹系のフロント業務に活用するOBAの概要を改めて説明するとともに、いくつかの導入事例を公開した。


システム化するOfficeを担うOBA


 業務アプリケーションの操作性は、企業の生産性に直結する。たとえば、従業員が利用する複数のシステムで、バラバラの操作体系を持つアプリケーションが導入されているとしたら、従業員が操作に慣れるまでの時間や教育コストがその都度必要だ。バックエンドのシステムは別々でも、せめて多くの従業員が触れるフロントエンドが共通化されていれば――。

 こうした課題に対してマイクロソフトが用意した解が、「Office Business Applications」(OBA)である。OBAとは、同社のOfficeスイートである「Microsoft Office System」やWebブラウザを業務システムとを連携させるソリューション群を指す。基幹系に代表される業務システムが持つデータやプロセスを呼び出し、使い慣れたWordやExcelなどのアプリケーションをフロントエンドのUIに用いる、というものだ。

OBAにはDuetのほか、PerformancePoint Server、Dynamics、パートナー企業が提供するソリューションがある(左)。右はDuetのデモ画面

 具体的な製品には、「Duet for Microsoft Office and SAP」(Duet)がある。Duetは、米マイクロソフトと独SAPが共同開発したソリューション(関連記事)で、SAP ERPが持つデータをOfficeから参照したり、逆にデータを直接入力できるようになる。たとえば、Outlookのカレンダーから休暇申請を行ない、それがSAPの人事管理アプリケーションに登録されるといった具合だ。

 マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャーの西岡真樹氏は、 「基幹系システムは非常に多機能で、ごく一部しか使わない一従業員からすると難しい。ユーザーに合ったUIをOfficeで用意することで、教育コストや二重入力の手間を低減できる」と話す。

使い慣れたOfficeで 生産性向上を――マイクロソフトがOB...

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャーの西岡真樹氏

 また、OfficeのUIをカスタマイズして使うことで、開発コストの削減にも繋がる。「たとえば分析系のアプリケーションを開発する場合、Excelと同様の機能を実現するには作りこみが大変。Officeの機能をうまく使いながら、少ない工数でリッチなクライアントを作れる」(西岡氏)という。

 とはいえ、OBAは「SQL Server」「BizTalk Server」「SharePoint Server」などの複数のミドルウェア製品を組み合わせて実現するもの。その分導入コストも必要だ。これに対して西岡氏は、「たとえばLotus NotesからSharePointへ移行するタイミングなどで、同時にOBAが検討されるケースが増えてきた」と述べる。この日の説明会では、Wordによる保険約款管理システム、Excelを使った受発注システムなどの事例も紹介され、OBAがすでに導入が始まっているソリューションであることを印象付けた。

 同社では、OBAの開発をより容易にした「Visua Studio 2008」を2月に、Siebelなどの基幹系アプリケーションとの連携を図る「BizTalk Server Adapter Pack」を今年上半期中にリリースする計画。これらの提供によってパートナーによるOBAの開発を促し、普及を推し進める。「単なるクライアントアプリケーションにとどまらない」(西岡氏)という、“システム化するOffice”を浸透させていきたい狙いだ。

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