カシオ計算機(株)と(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは3日、中小店舗や個人商店などに向けて、電子決済の代行サービスや店舗支援サービスを行なう合弁会社“株式会社CXDネクスト”を今月9日に設立すると発表した。
CXDネクストでは、NTTドコモの“おサイフケータイ”決済端末“iD”(アイディー)を中心としたクレジットサービスなどの電子決済の代行を行なうほか、店舗ごとの売り上げをサーバーで30分ごとに集計し、分析などを行なう店舗支援サービスを提供する。サービスの月額/年額利用料金などは調整中という。
また、カシオ計算機からは、本サービスに対応する電子レジスター“ネットレジ”が8月1日に販売開始される。ネットレジはVPN機能を搭載しており、インターネットに直接接続しながら、セキュアーな経路で専用サーバーとデータをやりとりできるのが特徴。価格帯も10万円以下と安価で、ネット接続対応でこの値段は業界初だという。
会社概要としては、資本金が7億5000万円、資本準備金も同じく7億5000万円。出資比率はカシオ計算機が60%、NTTドコモが40%となっている。営業開始日は9月1日を予定しており、代表取締役社長には、現カシオ計算機 システム統轄部 第一開発部 事業開発室長の尾平泰一(おひらやすかず)氏が就任する。
今回の発表に合わせて、両社は記者説明会を開催。カシオ計算機 常務取締役の樫尾 彰(かしお あきら)氏、NTTドコモ 執行役員 マルチメディアサービス部長の夏野 剛(なつの たけし)氏、CXDネクスト社長の就任予定のカシオ計算機 システム統轄部 第一開発部 事業開発室長の尾平泰一氏が出席し、新会社および新サービスの概要などを説明した。
10万円以下という低価格はインパクトが強い
樫尾氏はまず、現在の状況について「中小規模の店舗ではIT化を進めたいと思っているが、導入および運用に高いコストがかかる“POSシステム”まではなかなか行けず、コスト面でなかなか投資できないというジレンマがある」と述べた。10万円以下という普及機価格帯でのネット対応機は「価格インパクトが非常に強い」という。
これは流通業におけるIT革命
次に、NTTドコモの新機種発表会でおなじみの夏野氏が登場。夏野氏はiDの現状について「ローソンなどのコンビニエンスストアに全店導入されてから、iDによる決済が非常に伸びてきている」と説明した。その上で「今回のサービスは大手ではなく、中小店舗へのソリューションであり、データをセンターに自動収集して分析ということを付加価値として提供していきたい」と述べた。
また、今回のネットレジおよびサービスによって「IT流通の新しいインフラ、新しいプラットホームとしていければ」と語った。
電子決済が使われない日はない
尾平氏は、電子決済の動向について、おサイフケータイの普及により「現在では電子決済が使われない日はない」とした上で、「こうした小額決済市場が、コンビニからタクシー、自動販売機まで拡大しているが、今後は中小規模の店舗にも普及していく」と説明した。市場環境としては、個人商店や中小規模ではコストがかかるPOSレジスターが導入できず、電子決済に対応しない単機能レジスターが主に利用されている。ここにネットレジを導入することで、個人商店から中小規模の店舗も電子決済に対応できるほか、売り上げ集計や分析サービスも利用でき、運営効率アップにも繋がるとしている。