このページの本文へ

「スタンス不明確」「レベルにばらつき」 日立システムが明かすSOX対応の課題

2007年02月27日 19時05分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日立システムアンドサービス(日立システム)は、2月27日、東京・品川の本社でプレス向けのセミナーを開催した。6回目となるセミナーのテーマは「内部統制」。同社の石井 清執行役が、施行まで1年余りと迫った日本版SOX法への顧客企業の対応状況を中心に紹介した。


「内部統制のビジネスは少し遅れながら進んでいる」


日立システムアンドサービス執行役 石井 清氏

日立システムアンドサービス執行役 石井 清氏

「現在までにIT統制のオーダーは数件。当社に持ち込まれる内部統制構築支援の多くは業務処理統制、文書化の段階であり、企業はITまで手が回っていない。少し遅れながら内部統制のビジネスは進んでいると感じている」

 日立システム執行役の石井 清氏は、同社の内部統制関連ビジネスの現状についてこのように話す。同社では昨年4月に専任組織「内部統制ビジネス推進センター」を立ち上げ、コンサルティングなどの支援サービスを始めた。当初、顧客からの引き合いの中心はIT統制と考えていたものの、実際は異なったという。

 原因は、企業の対策がそもそも進んでいないというのが同社の見方だ。日立グループが今年1月に行なったアンケートでは、日本版SOX法へ向けて体制を構築中と答えた企業は28%。文書化に着手している企業はわずか16%に過ぎず、多くの企業では対策が進んでいない実態が浮き彫りになっている。

 一方、すでに対策を始めている企業でもさまざまな課題が生じている。石井氏によると「そもそも自社の全体方針が不明確である企業が多い」という。日本版SOXへの対応にあたっては、法律に最低限対応するのか、業務改善まで踏み込むのか、スタンスを明確にする必要がある。方針が不明確なまま対策を進めると、作成する文書のレベルにムラが出たり、現場が混乱してしまうからだ。同社では「まずは財務報告に係るリスクに限定して進めた上で、企業独自のポイントは第2フェーズで対応すべき」とアドバイスする。

 また、監査人との調整も課題のひとつだ。「あらかじめ監査人と調整しておかないと、上流までさかのぼることになる可能性がある」(石井氏)ため、なるべく早い時期に文書化のレベルや対象範囲について監査人の承諾を得ておくのがポイントだという。さらに、内部統制の文書化はほとんどの企業で初めての経験となることから、文書の品質のばらつきも懸念される。同社では、プロジェクトを全社展開する前にパイロット版を立ち上げ、ノウハウ習得や人材の育成を図った上で本番展開に当たることを薦めている。

 日立システムが手がけるコンサルティングの対象は、日本版SOX法対応プロジェクトの中心となる財務部などの管理部門がメイン。一方で、財務報告に係る業務とITは密着してきており、石井氏は「ITで何が起きているのか現場は分からなくなっている。業務部門は、IT部門をなるべく早く巻き込むべき」と呼びかけている。


「文書化の次は文書管理」、ECMソリューション立ち上げへ


日立システムの内部統制支援ソリューションの全体像

日立システムの内部統制支援ソリューションの全体像

 顧客の日本版SOX法対応を支援する取り組みとして、日立システムはコンサルティングに加えて、Excelベースの内部統制テンプレートを用意している。日立グループの米SOX法対応ノウハウをもとに作成したもので、実際の文書化に当たってのサンプルとして使えるのが特徴だという。同社ではこれに文書化支援ツール「Ci-Tower」を併せて提供しており、27日にはキングジムが同製品を導入したことを明らかにしている。

 さらに「文書化の次は作成した文書の管理が重要」(プロダクトソリューション事業部ドキュメントソリューション部 部長の三原丈英氏)として、ECM(Enterprise Contents Management)ソリューションにも注力する。今年1月には、日立製作所の「DocumentBroker」をリブランディングした「ラビニティ ECM」を発売。今後は同社独自の機能拡張を加えるとともに、顧客企業からのカスタマイズにも対応していく予定だ。

「ITベンダーは『この製品を使うとこれができます』ということが多い。我々はインテグレータであり、他社製品を含めて総合的に支援できる点が評価されている。また、4000名のSEを抱えることも強み。プロダクトを売るのではなく、企業にあったソリューションを提供していく」(石井氏)

 同社では40名体制の内部統制ビジネス推進センターに加えて、社内認定制度である「内部統制アドバイザー」を70名養成することで体制を強化。引き続き、年商500~1000億円規模の中堅の上場企業を中心に支援を進めるとしている。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    実用化が楽しみすぎるスマート技術たち 「長距離ワイヤレス給電」から「室内向け太陽電池」「超音波センサー」まで

  2. 2位

    sponsored

    AIインフラ市場“一強体制”を崩せるか AMDが「Helios」で体現するオープン戦略とフィジカルAIのラストマイル

  3. 3位

    ITトピック

    IT技術者の約半数が「AIの進化で転職を意識」/これから起きるのは「SaaSの死ではなく変容」/バックアップ市場は堅調に成長、ほか

  4. 4位

    デジタル

    kintone MCP Server とは?現在提供されている3つの選択肢をフラットに比較

  5. 5位

    デジタル

    買い切り型クラウド「pCloud」がDX総合EXPOへ CEO来日で日本展開を加速

  6. 6位

    データセンター

    IOWNによるGPU分散インフラ「GPU over APN」実証環境を開放 NTTドコビジが全国8拠点をつなぎ提供

  7. 7位

    sponsored

    「IT機器が高すぎる」「熟練メンバー不在で分からない」… 情シスさんの“現場の悩み”をエンジニア3人に聞いてみた

  8. 8位

    ITトピック

    6.4万人の熱狂をAIが導く FIFA W杯全スタジアム「デジタルツイン」化が変えた観戦体験

  9. 9位

    Team Leaders

    AIエージェントが顧客対応から“恋愛相談”まで マッチングアプリwithのCSを変えたチャネルトーク

  10. 10位

    クラウド

    顧客企業のビジネスを動かす「基幹系AI」を実現する 日本オラクルの2027年度戦略

集計期間:
2026年07月12日~2026年07月18日
  • 角川アスキー総合研究所