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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第10回

ソロデビュー20周年記念・平沢進ロングインタビュー【前編】

「私は平沢進だぞ。平沢唯じゃない」 本人に聞いてみた

2009年12月16日 12時00分更新

文● 四本淑三

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だからね、いい人なんです、本当は。

Twitterフォロワーからの質問 その3

 《戦略として「客いじめ」を行なって来たという平沢進/P-MODELですが、今回のプロジェクト、全体を通して「自分いじめ」にも見えます。過去音源の変換、投票も加味、という方法はご本人の作業としては相当過酷なのでは?》

平沢 要するにインチキですよ、全部。

―― えっ。何がですか?

平沢 一年間続くイベントとして飽きさせないために、何がしかの参加感覚を持ってもらう方がいいだろうと。それでお茶を濁すと。そういうことです。

還弦主義プロジェクトでは、「還弦してほしい」曲のユーザー投票を受け付けている

―― ひっどいなあ。なのに投票結果を見て「君たちはプロデューサーの観点が足りない」とか言うんだから。

平沢 実際問題として、投票結果を見る前に、私は選曲を済ませているんです。が、それを2回ボツにしています。それで投票結果を加味した選曲をしていますよ。うん。だからね、いい人なんです、本当は。

―― じゃあ最初からそう言ってくださいよ。インチキとか言わずに。

平沢 これはTwitterキャラですからね。

―― あ、すみません、時々分からなくなります。では次。

Twitterフォロワーからの質問 その4

 《Twitterの感想とかフォロワーが一気に増えたときの感想とか》

平沢 ひたすら不気味ですよね。話題だけで人を動員してしまうという、怖い現象を経験していますから。京大西部講堂に初めて出る直前まで、人気が出ることは嬉しいことだと思っていたんだけど、出た途端、怖いと思いました。

―― 30年前にP-MODELでデビューした頃の話ですね。

平沢 まだレコードが出ていない頃です。メディア上の話題しかない時期ですよ。我々の出番の前のアーティストに缶を投げて「早くP-MODELを出せ!」ということになったんですよ。音も聴いたことがないんですよ。これは恐ろしいと思いました。それと似たような不気味さはありますよね。

―― 今回は平沢唯の元ネタとして一気に知られたわけです。

「私は平沢進だぞ……」の発言をお気に入りに登録したユーザーは1737人にも達していた(11月4日時点)

平沢 ことさら「唯じゃない」という発言のみがクローズアップされていますけど、あれは狙ったものではなく、本心です。

―― ところで「けいおん!」をどうやって知りましたか?

平沢 はっきりとは覚えていないんですけど、タイ人に「けいおん!」って何ですか、って訊かれたんですよ。

―― それはSP2ですか?※11

平沢 そうです。彼女はインターネットを始めたばかりで、GoogleとYouTubeの違いも分からないような段階だったんですが。ある時、平沢を調べてみようとYouTubeを検索したら、その中に「けいおん!」関係が混じっていたんですね。

―― それはたぶんMAD動画ですね。あの漫画の印象はどうですか? P-MODELのメンバーが揃っているんですけど。(関連記事

平沢 でも何かおかしいですよね。オリジナルメンバーじゃないんですよね?

―― ギターもタルボじゃなくてレスポールなんですよ。

平沢 そこがちょっと面白くないですか? そこまでやっておきながら、そういう外し方をすると「すべては私の手の上さ」っていう快感があるかも知れない。

―― もし「けいおん!」に続編があって、テーマ曲のオファーがあったら受けますか?

平沢 絶対にやらないと思いますよ。やったら、ごっそりファンがいなくなるような気が……。

※11 SP2 : タイの言葉で「第二の女性」という意味のサオプラペーッソン(Saopraphetson)を略した平沢さん独自の言い方。いわゆる性同一性障害を克服するために、本来の性に戻った女性のこと。詳しくは平沢進著「SP-2」(河出書房新社刊)で

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