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週替わりギークス 第240回

ゲルマニウムラジオ作ってみた!

2022年05月21日 12時00分更新

文● きゅんくん

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製作途中のゲルマニウムラジオ

 ゲルマニウムラジオを作ってみた。

 これはその製作記録である。

きっかけは「あの夜を覚えてる」

 ゲルマニウムラジオは、ゲルマニウムダイオードで復調するラジオ受信機だ。

 空中の電波を受信したエネルギーを電源にイヤホンを鳴らす、面白いラジオである。(Wikipedia参考)

 作ろうと思ったきっかけは、ニッポン放送のオールナイトニッポンとストーリーレーベル「ノーミーツ」が共同で制作した演劇「あの夜を覚えてる」だ。

 「あの夜を覚えてる」は、オールナイトニッポン55周年記念の演劇で、ニッポン放送の社屋を使って上演され、配信された。

 筆者はストーリーレーベル「ノーミーツ」のテクニカルディレクター・ハードウェアエンジニアをしており、「あの夜を覚えてる」には直接は関わっていなかったが仲間の勇姿を見届けていた。

「あの夜を覚えてる」キービジュアル

 「あの夜を覚えてる」に出てくるラジオドラマの中で、コイルを巻いてラジオを聞くシーンがあった。これは鉱石ラジオでは?と思い鉱石ラジオを作りたくなった。

 しかし鉱石で作るのはなんだか難しそうなので、ゲルマニウムダイオードで作ることにした。

 ゲルマニウムラジオの作り方は、こちらのサイトを参考にした。

 一通り読んで、参考になりそうなところを使うことにした。

 読んだ時点での買い物リストがこれだ。

 ここから、だんだん変わっていくことになる。

 具体的に言うと、ロッドアンテナとアース棒は長い針金で代用できるし、フェライトと抵抗はなくてもいい。

 サイトの主さんがゲルマニウムラジオの設計ソフトを作ってくださっていたので、それをダウンロードして使うことにした。

 ダウンロードして起動するときにWindowsから警告をたくさん出されたので、ダウンロードは自己責任で頼みます。

目標はニッポン放送を聞くこと

 今回は、ニッポン放送がきっかけでゲルマニウムラジオを作ることになったので、ニッポン放送の周波数を聞けるように設計したい。

 ニッポン放送はAM1242、FM93.0である。

 ゲルマニウムラジオではAMの帯域を聞くことができるので、1242kHzをコイルの可変範囲の中央に持ってこられるように設計したい。

 ちなみに、AMは2028年に完全に停波される。

 2028年まで継続して放送をするのは北海道など広大な地域で放送をしている3局のみで、ニッポン放送は2023年にAM停波のようだ。

ゲルマニウムラジオの設計図

 家にある筒状のものがスプレー缶しかなかったので、スプレー缶を使ってコイルを作ることにした。

 スプレー缶の直径が35mmだった。

 設計ソフトに必要項目を埋めていく。設計ソフトは機能がてんこ盛りなので、すべてを使うわけではないところに留意する。

 設計ソフト(ウェブ版)の使い方は後述する。

 上記が、ソフトを使った後の設計図だ。

 これも結構間違っていて、後ほど変更することになる。

ゲルマニウムラジオの材料

 必要なものは、

単連ポリバリコン 260PF 
ゲルマニウムダイオード1N60
セラミックイヤホン プラグ無 1.2m
・針金(直径1mm)
・ポリウレタン銅線 UEW(直径0.4mm)

 である。

 UEWだけ家にあったので、それ以外を秋葉原で購入した。

ゲルマニウムラジオの作り方

 UEWを先程のスプレー缶に巻き付けていく。

きれいに巻き付けられた!

ポリバリコン面白い形してるなー

ダイオードは、線がある方が、回路図のダイオードのアイコンの線がある方と一緒の向き

 ひとまず回路図の通りにはんだ付けできた。

 とても雑だけど……。

ポリバリコンの足がもげそう

 公園に行って試してみることにする。

 アースは公園で地中に埋めたほうがいいかな?と思ったのだ。

公園で試してみる

不審者

 アンテナを高く伸ばしても、何も聞こえない。う〜む、、

 たまにサ〜という音が微かに聞こえるので、何かを拾ってはいるみたいだ。

 ちなみにこの時点でのアンテナの長さは2mほどである。

ゲルマニウムラジオの改良

 さて、ここから改良のターンだ。

 聞こえない原因として、怪しい箇所は以下だ。

・コイルの芯がスプレー缶なのがまずい?
・アンテナがまずい?
・イヤホンのケーブル長すぎて減退してたりする?
・ハンダ付けがまずい?
・設計ミスってる?

 まずは、コイルを空芯にして、スプレー缶を取り除いてみた。

 さらに、ポリバリコンの足がもげそうなハンダ付けだったので、ユニバーサル基板にハンダ付けをした。

空芯にしたコイル

ユニバーサル基板に変更

 アンテナとアースが硬い素材なのが、ポリバリコンの足がもげそうな原因だったので、アンテナとアースをやわらかい線材に変更した。

 周りの人に聞いたら、アースは地中に埋めなくても聞こえるらしい。

 アンテナの長さは10mほどに変更した。

 この時点でも聞こえない。

 設計ミスってるんじゃなかろうか。

 ちゃんと見返したら、設計の段階でポリバリコンを300pFで想定している。

 実際に使っているのは260pFだ。

 これは大きな間違いだ。

 コイルの設計をやり直そう。

ゲルマニウムラジオの改良(2)

 今度は綿棒のケースを使ってコイルを作ることにした。素材がプラスチックなので、スプレー缶より良さそうだ。

 綿棒のケースの直径は75mmだった。今度は直径0.3mmのUEWを使う。最初、54巻でやってみた。計算では、540kHzの電波が拾えるはずだ。計算は先程のサイトの設計計算ツールで行なった。

 この段階でついでにイヤホンのケーブルの長さを30cm程度にしている。

直径75mmの筒に直径0.3mmの線材を54巻すると、コイルは約335uHのインダクタンスになる

260pFのコンデンサでコイルのインダクタンスが335uHなので、約540kHzの周波数と共振する

 アンテナを建物の上から10mほど垂らしてピンっと張ると……

 聞こえる……!

 ポリバリコンのつまみを回すと、英語のラジオと韓国語?のラジオが聞こえた!

 微かなのと、外国語なので何を言ってるかはわからないが、とにかく聞こえた!

ピンっ

 よし、目的の1242kHz、ニッポン放送を聞けるように設計するぞ!

1242kHzを260pFのコンデンサで共振させるには、約63uHのインダクタンスが必要!

直径75mmの筒に直径0.3mmの線材を巻いて63uHのインダクタンスにするには、約20巻必要!!

 20巻すればニッポン放送と共振する!

 やってみるぞ〜〜

20巻のコイルだ!

 先程と同じように建物の上から10mほど垂らしてピンっとアンテナを張る。

 ……微かに日本語が聞こえる!

 が、何言ってるかは聞き取れねえ!!

 悔しい!

 ニッポン放送かどうかもわからん!

 これ以上アンテナは伸ばせないし……

 バリコンを測ってみたところ、最大値が260pF、最小値が約0pFだったので、真ん中の130pFで計算して、設計し直してみることにした。

ついに聞けた! だが、、

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