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科学・生物で気になることをお届け! 「数式なんて知らんし!!」 第71回

竜巻と炎が合体した恐ろしい現象「火災竜巻」 なぜそんなものが発生するのか?

2020年06月18日 18時00分更新

文● イラスト●せれろんやまだ(@Celeron_ymd

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大地震のときの恐ろしい2次災害

 新緑の季節も過ぎ、日によっては暑く感じられることも多くなってきた今日この頃。天気予報を見ていると、“大気が不安定”と伝えられることがちょこちょこ多くなり、速報で“竜巻注意情報”が流れることもやや増えてきました。この竜巻注意情報、そういえばいつから……と調べたところ、10年以上前から始まっているようです。にしては、最近見ることが多くなったのは、単にこれまであまり気にしていなかったのか、それとも大気が不安定なことが多くなったのか……。

 気象現象としてはそれほど多くないこの竜巻。物珍しさもあり、動画などを見るとそれなりに迫力がある映像ですが、甚大な被害がつきものです。日本でも電車の脱線や死者を出すほどの竜巻が過去発生しており、海外だと数百人もの命を奪ってしまう竜巻が発生しています。が、この竜巻と炎が合体した現象が存在することをご存知でしょうか? それが『火災竜巻』です。字だけ見るとですよ? なんとなく格ゲーの技の四字熟語みたいな感じですが、あの関東大震災でも、約4万人の命を奪った原因がこの火災竜巻だと言われています。しかもたった15分の間に……。

 火災竜巻、その姿は紛れもなく、空へと勢いよく昇っていく火をまとった竜です。火災の現場で、炎の渦が回転運動と共に勢いよく吹き上がり、そして竜巻と同様、地上を移動していくものもあります。想像するだけで恐ろしいですね……。内部の温度はゆうに1000℃、風速は秒速100mを超えると言われています。大きさも直径は数百m、高さもkmを超えます。こんなものが襲ってきたら人間も建物もひとたまりもないです。しかし、気象現象である竜巻が、なぜ火災現場で起こるのでしょうか? どうやら、カギは“空気の回転運動”にあるようです。

 火災竜巻の定義として、“火災に伴ってできた積乱雲(火災積乱雲)と、地上の炎の渦がつながっている”というものがあるようですが、情報がまだまだ少ないため、その定義もあやふやだと言います。そのため、“風速が竜巻並みの火災旋風”という定義を用いて研究した人が中にいます。旋風、訓読みで“つむじかぜ”ときくと、あの晴れた日の運動場とかでたまに“くるくるくる〜”と風が巻かれ、中に入ったら飛べるんじゃない? って思うくらいのものですが(中にはテントを吹き飛ばす強力なヤツもいます)、なぜ火災現場では竜巻並みの威力になるのでしょうか!?

 火災竜巻が発生するためには、“炎(火災)”と“空気の回転運動”が必要になります。火災の中で、空気の回転がどうやって引き起こされるのでしょうか? 実は、空気中には見えないだけで、風に伴う気圧や密度の変化で渦が色々な所で発生しています。が、渦巻いただけでは炎は立ち上がりません。この立ち上がるメカニズムが必要です。

せれろんやまだ

 大手PC関連デバイス販売代理店で敏腕を誇った“姐御”。科学好きが高じてついに連載開始。夢は家事を放棄すること。

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