自作PCのパーツ選びで重視するものは人によって様々だと思うが、外観や本体サイズにこだわるならしっかり選んでおきたいのがPCケースだ。ケースのカラーやデザインが全体のおおまかな見栄えを決めるのはもちろん、設置スペースに限界があるような場所ではしばしばコンパクトさがもっとも重要な選定基準になる(住宅事情が独特な日本国内ではなおさらだ)。日常的に目にするものである以上、外見にはこだわりを反映させたいと思うのが自作PCユーザーの性というものだろう。
さて、PCケースはCPUやGPUのスペックの進歩に比べれば「進歩がないもの」と捉えられがちだが、実際は時代の移り変わりとともにトレンドが変化しており、特にこの数年では「強化ガラス採用モデルの増加」「5インチベイ採用モデルの減少」など、なかなか面白い展開を見せつつある。また、MODPC文化やライトアップの盛り上がりにより、電動ギミックなどの特殊な仕様やデザインを採用したド派手なケースも増えてきた。
この特集では、定番モデルの傾向分析からみるトレンドや、最新のド派手なPCケース事情などを紹介していく。
トレンドは“魅せる”! 定番3製品に見るPCケースの今
まずは2019年現在のPCケースのトレンドを、定番とも言える3メーカーの製品で確認していきたい。取り上げるのは、北欧スウェーデンを拠点にする新興メーカーながら、世界中で新定番となった感もあるFractal Designの「Define R6 TG」、スタイリッシュなカラーとデザインのケースに定評あるNZXTの「H700」、独自の哲学に基づいたユニークな製品を次々に市場へ送り出しているIn Winの「303」だ。いずれも1万円~2万円台の普及価格帯ながら、現代的なPCケースとして過不足ない仕上がりのプロダクトと言えるだろう。
「Define R6」は、名機として名高い「Difine R5」の後継モデル。強化ガラスサイドパネル採用モデルのラインアップ、5インチベイの確保、取り外し可能なドライブ固定用プレートの採用など、現代風の流行を取り入れつつ、旧来からのユーザーが求める要素を上手くミックスさせた柔軟性の高い設計が最大の魅力だ。この手のPCケースには珍しく、オプションのライザーカードを利用することでグラフィックボードの縦配置に標準で対応する。
「H700i」は、NZXTの看板とも言えるデザイン性の高い外観で人気のモデル。内部にはケーブルをうまく隠してくれる「ケーブルマネジメントバー」およびこだわりのケーブルルーティング機構を備え、独自のモニタリング用ユーティリティー「CAM」によるLEDやファン制御にも対応する。同社製の水冷CPUクーラー「Kraken」シリーズなどとあわせてPCを組み上げれば、より統一感のある外観となるのも利点だろう。E-ATX(305×272mm)までのマザーに対応する。
「303」は、フロントパネル裏のベイ類を廃し、電源ユニットを上部に設置してデュアルチャンバー構造とした意欲的な設計が特徴のモデルだ。とにかく“魅せる”コンセプトを突き詰めており、水冷CPUクーラーのラジエーターを側面に向けて設置できるなど、独特の利点が多いのが魅力と言えるだろう。ただし、そのぶん他のケースとは異なる仕様のが多く、付属するケースファンが背面のみのため、冷却に気を遣うのであれば最低でも1個は買い増しておきたいところ。ちなみに今回取り上げる「NVIDIA EDITION」のほかにも、多数の派生モデルが存在する。
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