4月にGoogleが国内販売を開始した無線LANルーター「Google Wifi」。同社初のWi-Fiシステムというだけでも注目を集めていたが、この製品の大きな特長は、複数製品を併用して網の目のようにWi-Fiネットワークを構築する「メッシュネットワーク」に対応していることだ。ここ一年ほどで大きなトレンドとなりつつあるメッシュネットワークだが、まだまだ聞き慣れないという人も多いだろう。
この特集ではメッシュネットワークの基本的な解説から実際の利用方法までを解説し、一般的なルーターとの比較検証結果もご紹介する。
ハイエンドルーター、中継機に続く第三の選択肢「メッシュネットワーク」
ネットワークに接続する機器が増え続けている昨今、家庭内の無線Wi-Fi環境を左右する無線LANルーターはますますその重要性を増している。ルーターの基本的な役割は「なるべく広い範囲に強い電波を届ける」ことだが、これまで多くの製品が様々なアプローチでその目的を実現しようとしてきた。
ルーターの性能を高めるメジャーな手法といえば、電波の出力を高めて遠くまで飛ばし、弱い電波もしっかりとキャッチできる大型アンテナを搭載することだろう。例えるなら、遠くの人と会話するために大声でしゃべり、小さな声が聞こえるよう耳を澄ましているようなものだ。これはこれで正しい方法なのだが、効果が高いのは障害物が少ないシンプルなレイアウトの場合に限られる。廊下の角を曲がった先の部屋の中といった直接見えない場所や、鉄筋や金属壁越し、障害物の陰など、そもそも電波が届きにくい場所では効果が薄いのが弱点となる。
これに対し、機器の追加で電波環境を改善しようとするアプローチがWi-Fi中継器だ。中継器はその名の通り、ルーターとPCやスマホ間の電波を橋渡しする子機のこと。たとえば廊下の角などに中継器を設置しておくことで、その角を曲がった先の部屋からでも通信しやすくするわけだ。中継器は価格が安いこと、LANケーブルが必要なく設置が簡単な事、そして親機の設定を変更することなく手軽にWi-Fiの範囲を広げられることから、ピンポイントで電波状況を改善したい場合には有用となる。
しかしこの中継器も万能ではない。あくまで中継して範囲を広げるというだけなので、そもそもルーターの速度が遅いと効果が薄く、多数の機器を接続すると速度が激減する、といったことが起こりやすかった。また中継器そのものの通信速度が遅いことも多く、せっかくWi-Fiルーターが1300Mbps以上に対応しているのに、433Mbpsでしかつながらない、といった事態が容易に起こりえる。これ以外にも、多段階で中継すると間の機器が壊れただけでその先すべての通信が途切れてしまう、といったことも考えられるだろう。
こういった中継器の欠点を改善し、広い範囲で安定したWi-Fiを提供できるようにするのが「メッシュネットワーク」構築に対応したWi-Fiルーターだ。
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