ASCII倶楽部

このページの本文へ

ASCII Power Review 第324回

15万円で買えるレトロデザインの最先端ミラーレスカメラ=「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

2026年09月24日 00時01分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷



 OMデジタルソリューションズがマイクロフォーサーズの「OM SYSTEM PEN」を発表した。

 「PEN」といえば銀塩ではハーフカメラの人気シリーズとして、デジタルになってからは同社のM4/3(マイクロフォーサーズ)初号機に引き継がれた名称(いずれもOLYMPUS時代)。とはいえこのところは存在感が少々薄めで2021年の「OLYMPUS PEN E-P7」以来の新製品となる。

 価格からするとエントリーモデルに位置するカメラだが、EVFを搭載したことに注目。今までのM4/3「PEN」シリーズは外部EVFに対応した機種はあっても、搭載していたのは2016年の「OLYMPUS PEN-F」のみ。実に10年振りにEVFモデルを復活させてくれたのは嬉しいかぎりだ。

 発売は10月下旬予定とまだ先だが、短期間ながら実機を借りることができたので、実際に触れ撮ってみた印象をお伝えしていこう。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ボディーカラーはシルバーとブラックの2色。ボディーの量販店価格は14万8500円。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

同時に発売される「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」とのレンズキットは16万5000円。レンズ単体価格は4万6200円なのでかなりお買い得。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

さらに「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」をくわえたダブルズームキットは17万6000円と、もはやバーゲン価格。

EVF搭載ながらサイズは微増
メニューが刷新され快適に

 

 まずはボディー周りだが、従来の「PEN」シリーズを踏襲するスクエアなデザイン。前面の「PEN」のロゴが目立っているのが特徴的だ。

 現行機の「E-P7」よりはわずかにサイズアップしているが、それでも十分コンパクト。前面のグリップや背面のサムレストも小振りだが、ボディーが軽量なので構えやすい。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ボディーサイズは125.8×74.5×43.3mm、重量はメディアバッテリー込みで393g。なお「E-P7」は118.3×68.5×38.1mmで337g。EVF非搭載だが、ストロボを内蔵(逆に「PENはストロボ非搭載)しているのでサイズ差はごくわずか。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

上面からみると中央部に少しふくらみがあり、銀塩時代の「PEN」を思い出すデザイン。

 上面のダイヤルはローレット加工で高級感があり、しっかりとしたクリックで操作していて心地いい。ただ電源レバーは小振りかつ固めなので少し慣れが必要だ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

コマンドダイヤルはシャッターボタン周りと背面の2カ所。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

電源レバーは静止画/動画/S&Q(スロー&クイック動画)の切換を兼ねている。

 背面のボタン類はストロークが浅く配置もやや窮屈なのが気にはなるが、ボディーサイズを考えると許容できる。

 メニュー画面の操作が進化したのは嬉しい。今までのタッチ対応機種は上部の左右タブのみタッチ操作可能という謎の仕様だったが、本機では上下の項目でもタッチでの操作が可能になった。

 特に使いやすかったのは設定したのち前画面に戻る際は「MENU」ボタンを押す必要があるが、これがタッチ操作でおこなえるようになり断然スムーズになったこと。些細なことだが優れた改良点だ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

小型ボディーなのでボタン類が小さめなのも仕方なし。右上のサムレスト部には「CP」(コンピュテーショナル フォトグラフィ)ボタンが新設されている。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

メニュー画面はフルにタッチ操作が可能に。上位モデルユーザーとしては少々悔しい。

 EVFの236万ドットで倍率は最大1.23倍とスペック的には控えめだが、ファインダー好きにはとっては搭載しているだけで嬉しい。

 なお上位モデルにある露出反映をオフにして肉眼に近い表示にする「S-OVF」モードは省かれていて、マニュアル露出でのストロボ使用は難しいかと思ったが、「ナイトビュー」モードをオンにすれば少し表示はカクつくが露出反映をオフすることが判明。ストロボ愛好家も安心だ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

EVF横に視度補正ダイヤルを備える。ロック機構はないが、コチラも動作が固めなので不意に動いてしまうことはない。

 メディアはSDのシングルでUHS-Iのみに対応だが、バッテリーとは別の専用のスロットなので、メディア交換はしやすい。

 バッテリーは容量を増加した新型の「BLS-7」で公称撮影可能枚数は410枚。実際撮影してみると満充電からRAW+JPEGで306カット612枚に深度合成2カットと手持ちハイレゾ6カット撮影した時点でバッテリー警告が点滅した。ボディーやバッテリーのサイズを考えれば十分なスタミナだ。

 側面端子はマイクとHDMI、USB-Cのみとシンプル。USB-Cの転送速度は2.0でPDにも非対応だが、ある程度バッテリー残量があれば5V1.5Aでの給電が可能だ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

メディアスロットは右側面に配置。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

バッテリーの単体価格7040円で、専用充電器「BCS-7」(7590円)も用意されている。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

側面の端子類。上からマイク、HDMIマイクロ、USB-C。

被写体検出は優秀
ISO12800でも十分実用的

 

 撮像素子は2037万画素で像面位相差AFに対応した。ただ測距範囲は画面全域ではなく、被写体検出も人物と犬・猫のみに限定される。この辺りは上位モデルとの差といったところだろう。

 とはいえ街中のスナップでは低コントラストや暗所でもピントは迷うことなくAF速度的にも不満を感じることはなかった。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

画面の白い枠が測距点の範囲。画面全域ではないものの、実用上困ることはないだろう。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

被写体検出は人物のほか犬・猫に対応している。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

像面位相差AFということで、AF追随も試してみたが、電車のような規則的な動きなら問題なし。ただ連写はメカシャッターで秒5コマ・電子シャッターで秒8コマでしかAF追随はできない。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF9・シャッタースピード1/125秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ダメもとで鳥を犬猫で検出するか試してみたら、迷いながらも検出することがあった。将来的にはアップデートで対応したりするかも。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/250秒・ISO200。

 画質的には従来モデルと同等で、キットレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」との組み合わせで撮った写真を見ると、シャープ感が高く適度なコントラストと色乗りの良い発色でメリハリのある写り。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

建物レンガの質感がシャープに再現されている。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/640秒・ISO200。(記載がなければ以下設定は共通。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」・ホワイトバランスオート・ピクチャーモード「Natural」・シェーディング補正オフ・JPEG最高画質)

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

初期設定のピクチャーモード「Natural」の発色は派手過ぎず、それでいてしっかりとした色乗り。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/640秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

明暗のあるシーンだが、階調再現も申し分ない。焦点距離26mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/640秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

初期設定では周辺光量(シェーディング)補正がオフになっていて、キットレンズ「14-42mm」も絞り開放だと少し光量低下はあるが、1/3EV程度絞っただけで改善する。焦点距離25mm・絞りF4,5・シャッタースピード1/60秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

キットレンズ「14-42mm」の望遠側で撮影。それなりのボケ感が楽しめる。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO400。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

キットレンズ「14-42mm」の広角側では最短13cmまで近寄れ、撮影倍率は35mm換算0.53倍相当になる。焦点距離14mm・絞りF3,5・シャッタースピード1/500秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

望遠側は最短撮影距離30cm、倍率は0.38倍。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/320秒・ISO200。

 実際に撮っていてシャッターの感触が上品というほどではないが、機械らしい動作音で個人的には好みだった。シャッタースピードの上限はメカシャッターで1/4000秒だがストロボは1/250秒での同調が可能。電子シャッターではストロボ使用は不可だが1/32000秒まで設定できる。

 ISO感度はISO200~6400、拡張でISO64とISO25600となっている。撮像素子サイズが小さいM4/3は高感度画質では不利だが、ノイズ処理のバランスが良く拡張のISO12800でも十分実用的だ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO800・ISO1600・ISO3200・ISO6400・以下拡張感度ISO12800・ISO25600・ノイズ処理標準。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ISO6400で撮影。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/30秒・ノイズ処理標準。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ISO12800で撮影。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/60秒・ノイズ処理標準。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ISO25600で撮影焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/40秒・ノイズ処理標準。

 「PEN」シリーズでは初めて防滴と防塵に配慮したボディーになった。等級はIPX1と「OM」シリーズ(「OM-D E-M10 Mark IV」と除く)のIP53ほどではないが、雨の日や水辺での撮影では安心だ。

 防塵防滴はレンズも対応している必要があるが、キットレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」は同じくIPX1だが、ダブルズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」は防振防滴には非対応になる。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

心なしか雨の日は皆足早な気がしてスローシャッターで撮ってみた。焦点距離42mm・絞りF16・シャッタースピード1/4秒・ISO64。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

雨の日の街中スナップの定番といえる水たまりの写り込み。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

ウインドウに写り込んだ水滴なかなかいいものだと再発見させてくれた。焦点距離14mm・絞りF3.5・シャッタースピード1/25秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

街路樹の花も雨の日のほうが生き生きと見える。焦点距離14mm・絞りF3.5・シャッタースピード1/125秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

路上の手摺に付いた水滴も見方によっては面白い。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/15秒・ISO64。

手振れ補正は秀逸
「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」が楽しい

 

 手ブレ補正も中央5.5段、周辺4.5段と上位モデルよりは劣るが、これが侮れなくて特に遠景ではシャッタースピード2秒でも高確率でブレを防止し、スペック以上の効果を実感できた。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

キットレンズの広角側4秒で撮影。慎重に構えたこともありブレずに撮ることができた。焦点距離14mm・絞りF16・シャッタースピード4秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

キットレンズの望遠側2秒で撮影。厳密にはわずかなブレはあるが、それでも強力な補正効果だ。焦点距離42mm・絞りF16・シャッタースピード2秒・ISO200。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

望遠側の近距離(約50cm)で撮影。さすがにブレやすくはなるが、それでも1/4秒なら3割くらいの確率だった。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4秒・ISO640。

 「OM SYSTEM」がアピールする「コンピュテーショナル フォトグラフィ」の専用「CP」ボタンも搭載。ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回すと機能が切り替わり、その後ボタンを押すことでオンオフになり、さらに長押しをすると機能の設定画面が表示される。

 ただこのボタンで切り替えられるは「ハイレゾ」・「ライブND」・「深度合成」・「HDR」・「多重露光」のみ。欲を言えばせっかく「デジタルシフト」や「ライブコンポジット」など面白い機能が搭載されているので、これらも「CP」ボタンで切り替えられるように改良してほしいところ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

PH24 CPボタンは設定で通常のFnボタンとして他の機能を割り当てることもできる。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

主な「コンピュテーショナル フォトグラフィ」の作例。まずは「ハイレゾショット」。連写画像を合成して、最高50MB相当(8160×6120ドット)の高解像度画像を生成。撮影方法は三脚固定と手持ちが選択できる。この作例は手持ちで撮影。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF9・シャッタースピード1/200秒・ISO6400。こちらはノーマル。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

こちらがハイレゾによる写真

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「ライブND」は減光効果により日中でもスローシャッターで撮影ができる。減光量は1~4EVの4段階が選べる。撮影モードはシャッタースピード優先かマニュアル露出で使用可能。こちらがライブND ND16(EV4減光)使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF22・シャッタースピード1.6秒・ISO64。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

通常撮影、使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF22・シャッタースピード1/10秒・ISO64。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「深度合成」ではピント位置を変えて撮影した画像を合成し、ピントの合う範囲を広くできる。少し画角が狭くなり、レンズが対応している必要もあるので公式サイトでチェック。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200。こちらはオフ。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「深度合成」オンでの撮影例。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「HDR」は露出を変えた画像を合成し、高階調の画像を生成する。一般的な「HDR1」とより印象的な「HDR2」が選べる。 焦点距離14mm・絞りF8・シャッタースピード1/100秒・ISO200(HDR2はマイナス補正をし、シャッタースピード1/200秒)。こちらはHDR1で撮影。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

HDR2での作例

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

HDRオフ

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「多重露光」は2枚の画像を合成、1枚目の画像をオーバーレイ表示することもできる。テキトーに撮ると心霊写真みたいになるので気を付けたい。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200。

 画像仕上げは通常のピクチャーモードとカラーとモノクロのプロファイル、さらにアートフィルターと多岐にわたる。これだけ種類が多いと迷いがちだが、そんなときにオススメなのが「ART BKT」だ。

 一度のシャッターで設定しておいた画像仕上げを同時に記録することができるので、まずは気になる項目を選択し、そこから自分好みの画像仕上げを探していくといいだろう。

「OM SYSTEM PEN」実機レビュー

「ART BKT」の設定画面。同時記録したい項目を選択できる。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

週間ランキングTOP5

ASCII倶楽部会員によく見られてる記事はコレだ!

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!