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「学生フォーミュラ日本大会2026」で総合3位の快挙!

熱意のこもったメールがきっかけに。九州工業大学の学生フォーミュラチーム「KIT-FORMULA」を陰ながら支えたサイコムの高性能PC

2026年10月20日 10時00分更新

文● 宮里圭介 撮影●AKR/Akira Sato 編集●ジサトライッペイ/ASCII

提供: 株式会社サイコム

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審査は大きく分けて「静的審査」と「動的審査」の2つ

 審査の項目は「コスト」、「プレゼンテーション」、「デザイン」、「アクセラレーション」、「スキッドパッド」、「オートクロス」、「エンデュランス」、「効率」の8項目あり、これらの合計点で順位が決まる。このうち、「コスト」と「プレゼンテーション」、「デザイン」の3つは「静的審査」と呼ばれ、主にパーツの理解や設計力、企画力といった部分が問われるそうだ。

 たとえば、「コスト」の審査では事前にコストレポートとして図面などをまとめた書類を提出する。このレポートと実際の車両の仕様が同じかどうかをチェックされるほか、設計上の課題はどこか、その解決案はあるのかといったところまで厳しく突っ込まれるのだ。しかも、これは実際の車両を前にした口頭質問となるため、その場で即返答しなくてはならない。それだけに、パーツを細部まで理解している必要がある。

学生フォーミュラ

紙に印刷したコストレポート。厚みが15cmはありそうだった

「コストレポートには、すべてのパーツのCAD図面が載っていまして、それぞれの加工に対していくらかかる、ということまで記載されています。2000パーツ近くあるすべてを計算して、1つずつ出力してまとめていますので、この厚さになっています」(岡さん)

 以前は印刷して郵送していたそうだが、今はファイルのアップロードで提出するそうだ。とはいえ、提出期限直前は忙しくなり、徹夜作業になることは変わらない。

「プレゼンテーションでは、自分たちを会社に見立て、製作した車両をどう販売するかという戦略などをプレゼンします。資本金はいくらで、借り入れがいくら。当初は赤字がこれくらい出ますが、5年後には黒字にもっていけます。というような話とかですね」(岡さん)

 どこに販売するかといったことも重要で、定番は「遊園地のゴーカートにする」というものだそうな。ただし、各校イロイロと工夫をしてくるのもここで、過去には「月面探査機にする」というようなユニークなアイディアを出す学校もあったとのこと。

 ただのウケ狙い、夢物語であれば得点は低くなる。しかし、具体的にビジネスとして成り立つ道筋があり、数字の上でも説得力があるのであれば、高得点となるわけだ。どうやって魅力的な商品だと伝えるかは、実際のビジネスでも重要となるだけに、工夫のしがいがあるだろう。

「本番発表用のスライドは20枚くらいですが、質疑応答用のスライドを加えると、80枚くらい用意しています。発表は3人で行いますが、1人はスライドの操作に専念して、想定していた質問が来たら、すぐその答えのあるスライドを表示する感じです」(岡さん)

 質問に対する答えを用意していなかったり、答えられなかったりすると、高得点は狙えない。いくら準備しても完璧はないだけに、プレッシャーと緊張はかなりのものがあるだろう。実際、SNSの広報活動として、発表直前の様子を写真に撮ったところ、発表者の誰も目が笑っていない写真となってしまったそうだ。

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大会中の様子を語る岡さん。本当に楽しそうに語っていたのが印象的だった

「デザインは、静的審査の中では最も配点が大きくなっています。実際の車両を前に審査員と直接やり取りし、どういうところを工夫したのか、その効果はちゃんと検証できているのか、検証手順はどういうふうにしているのか、といったようなやり取りを口頭で行います。求められる性能に対して、どんな技術や工夫でそれを実現し、それはどういうプロセスで行ったのかという部分が評価される感じですね」(岡さん)

 研究設備のあるところなら、高度な測定器で細かなデータを多数集められるので有利になると思いきや、一概にそうとは言えないとのこと。地道な検証であったり、筋道を立ててしっかり考え、その効果が実証できていることを説明できるほうが重要とのことだった。

 なお、KIT-FORMULAはこの静的審査を得意としており、昨年もコスト3位、プレゼンテーション1位、デザイン7位という成績を収めている。ちなみに、今年はコスト4位、プレゼンテーション3位、デザイン2位。3年連続、すべての静的審査でトップ10入りを実現した。

「静的審査は得意としていますが、とくに去年は動的審査が振るわなかったので、今年はそこもしっかり上げていこうという方針で活動していました」(岡さん)

「動的審査」では日本記録の更新まで実現!

 動的審査の項目は多く、75mの加速タイムを競う「アクセラレーション」、コーナリング性能を評価する「スキッドパッド」、コースを2周走行する「オートクロス」、周回コースを約20km走行する「エンデュランス」、エンデュランス後の燃費を評価する「効率」の5つだ。

 動的審査では各チームのレベルが高く、KIT-FORMULAはスキッドパッドやオートクロス、効率の項目で10位以内に入れていない。しかし、エンデュランスでは6位、そしてアクセラレーションでは3.919秒という、ICVクラスの日本記録を更新して1位を獲得。これにより、総合3位というチーム歴代最高となる成績になったわけだ。

「アクセラレーションとスキッドパッドは2年目のドライバーが担当しましたが、オートクロスとエンデュランスは、ドライバーを始めて1年目のものが担当しています。今までドライバーを務めていた先輩が卒業されてしまったので、そこが少し難しい部分となりました」(岡さん)

 動的審査で成績を上げられた要因の1つが、設計・開発のサイクルを変えられたことにある。その例として挙げてくれたのが、エンジンだ。エンジンの特性は吸排気系を変えることで大きく変化するのだが、従来はシミュレーションだけ行い、良さそうな特性になったらパーツを作って実車に搭載していたそうだ。そのため、毎年かなり設計を変更していたとのこと。

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実車のエンジン部周辺。なお、エンジンは既製品が使用されており、これはバイク用とのことだった

 今年の設計は、エンジンの馬力やトルクを正確に測定できるDynapackが使えるようになったことで、大きく変化。自分たちが求めるようなスペックとなるように設計、シミュレーションして終わりではなく、Dynapackで実際に出力を確認できるようになったのだ。これにより、思っていた性能が出なければ再度設計を見直す、というサイクルが回せるようになった。

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2つある赤い箱状のものがDynapack。これでエンジン出力の変化を測れるようになった

「今までシミュレーションを行うだけという一方通行でしたが、実際の出力まで検証できる環境ができたことで、結果を見てブラッシュアップしていけるようになったのが大きいですね」(岡さん)

 実機で確認できることも大切だが、その前段階である設計やシミュレーション、解析などでは高性能PCが必要だ。以前は、大学の研究室で使わなくなった20年前のワークステーションを借りるなど、かなり苦労をしていたそうだ。

「20年前のワークステーションでも、自分たちが持っているPCより解析速度が速かったので、それでなんとかやっていた感じです。ただ、やはり時間はかかってしまうため、何度も回すといったことは難しかったです。卒業生が高性能PCを寄付してくれてからは、それをみんなが奪い合うように使っていました」(岡さん)

 こういったPC環境が大きく変わったのが、2年前。岡さんがサイコムへ出したメールがきっかけだった。

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