NetAppが新年度の国内事業戦略を発表、伴走型アプローチでさらなる「飛躍の年」目指す
「AI競争の本質は『データ競争』、データ基盤がビジネス成果を左右する」NetApp斉藤社長
2026年09月01日 09時00分更新
「GPUはわずか数年で世代交代し、AIのモデルも数カ月単位で変わっていく。その一方で、企業が保有するデータは10年、20年と残り続け、その価値はこれからさらに増していく。だからこそ、AI競争の本質は『データ競争』だと考えている」
NetApp日本法人(ネットアップ)は2026年8月4日、新年度(2027会計年度、FY27)の事業戦略を発表した。
社長の斉藤千春氏は冒頭のようにコメントし、企業のAI活用が本格化してビジネス成果が求められるようになった現在、データ基盤の整備がより重要になっていることを強調した。2027年度のNetAppは、個々の業界/地域の課題に即したソリューションを、SIパートナーと共に長期伴走型のアプローチで展開することで、大きく伸長した2026年度に続いて「飛躍の年」を目指す。
昨年度の国内ビジネスは40%の高成長、引き続き「ぶっちぎりNo.1」目指す
斉藤氏はまず、昨年度(2026会計年度)の業績や取り組みを振り返った。
2026年度のNetAppは好調なビジネスを展開し、グローバルの総売上高は前年比およそ5%増となる69億ドル(約1.1兆円)と、過去最高額に達した。特に、オールフラッシュストレージ(ハードウェア)、STorage as a Service(STaaS)の「NetApp Keystone」、クラウドストレージサービスの3領域における持続的かつ高い伸びが、成長を牽引しているという。
さらに斉藤氏は、日本法人単体の成長率はそれを上回り、「前年比で40%近い成長」を遂げたと明かした。昨年度の注力施策として「カスタマーサクセス支援」と「伴走型アプローチ」、さらに「“データインフラベンダー”としての認知度向上」を掲げたが、1年が経過して「いずれも具体的な成果として現れ始めている」と自己評価する。
特に、顧客企業における「ビジネス成果の創出」を目的としてデータ基盤構築を支援する伴走型アプローチについては、今後の強みにもつながる施策になったと説明した。
「GPU、クラウド、コンテナ、サイバーセキュリティなど、AI時代のデータ基盤は極めて複雑。そのため、お客さまが求める成果に合わせてデータ基盤を設計し、進化させていく伴走型アプローチは容易な挑戦ではなかったが、だからこそ、多くの実践による知見も蓄積できた。数十件の案件から得た知見を、これからデザインプリンシパル(設計原則)として体系化し、より多くのお客さまへ展開したいと考えている」(斉藤氏)
また、ITハードウェア市場を見ると、SSDやメモリの供給制約を原因とする価格高騰が発生している。その変化を背景として、NetAppのサブスクリプション型サービス、NetApp Keystoneへの注目が高まっていることも紹介した。
KeyStoneは、顧客のオンプレミス環境に設置されたストレージを、必要なストレージ容量/性能を選ぶかたちで月額または年額で利用できるサービスだ。国内のSIパートナーによる運用サービスも用意されている点、1つの契約でパブリッククラウド上のストレージとハイブリッドで利用できる点なども特徴としている。
「AIの収益化競争」が本格化するなかで、データ基盤の重要性を訴える
続く2027年度のNetAppはどう動くのか。斉藤氏はまず、AIをめぐる市場変化の分析から話を始めた。
生成AIの登場が、社会や企業に大きなインパクトを与えてから数年が経過し、現在では多くの企業がAIのビジネス活用に乗り出している。すでに「AIに投資すべきか」を議論する段階ではなく、「AIでいくら利益を生み出すか」が問われ始めていると、斉藤氏は指摘する。
「NetAppの調査でも、国内の80%近いお客さまがAIを本格的に業務活用していることが分かっている。すでにAIから実効性を得る段階になっており、われわれはこれを『AIの収益化競争(Return on AI)』と呼んでいる」「2026年から2030年までの数年間は、AIによる企業の競争優位を大きく左右する、非常に重要な期間になるだろう」(斉藤氏)
ここで、AI活用の成果を左右するのが「AIが活用できるデータ環境を整えること」だと、斉藤氏は強調する。多くの顧客とAI活用プロジェクトに取り組んで来た結果、「必要なデータが見つかるか」「AIがデータの意味を理解できているか」「データの品質が担保されているか」「ガバナンスの下で安全に利用できるか」といった要件が、AIによる価値創出の前提になることが分かったと述べる。
冒頭に挙げた「AI競争の本質は『データ競争』」だとするコメントは、こうした文脈で発せられたものだ。斉藤氏は「どんなデータを生み出し、どのデータを守り、どのデータをAIに学習させ、どのデータから新しい価値を創出するのか。そうした設計思想そのものが、今後の企業価値を決定していくものと考えている」と続けた。
こうした背景から、NetAppでは「従来型ストレージのモダナイゼーション」と「AI向けのデータプラットフォーム」の2つが、AI時代に競争力を支える重要基盤と考えており、その提供を通じて顧客企業のビジネス成果創出を支援していく。「その基盤を実現するのが、NetAppが提唱するインテリジェント・データ・インフラストラクチャーだ」(斉藤氏)。
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