このページの本文へ

日本マイクロソフトのハッカソン「GitHub Copilot Quest Lv3」をレポート

60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

2026年07月23日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

提供: 日本マイクロソフト

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

富士通:すべてを書き換えず“あえてCOBOLを残す”選択肢

 2番手は、多様なバックグラウンドのメンバーが集まった富士通。彼らが挑んだのは、GitHub Copilotをフル活用し、機能の特性に合わせて作り変えるマイグレーションだ。加えて、各機能をコンテナへ分割し、ビルドからデプロイまでを自動化する試みにも取り組んだ。

富士通 柴田隆志氏

 実際には、現行調査や移行方針の検討を経て、システムを「外接・登録」「計算」「帳票出力」の3つの機能に分割し、それぞれをコンテナ内に実装するアーキテクチャに決定。外接・登録と帳票出力にはPythonを選択した一方で、コアとなる計算には、あえてCOBOLのまま現状維持とした。「計算処理はCOBOLが得意な領域。精度も言語によって変わる可能性があるため、COBOLのまま残すという選択をした」(富士通・柴田氏)

 結果としてビルドまでは到達したものの、実行環境の構築は間に合わず時間切れとなった。それでも、GitHub Actionsワークフローを用いたイメージビルドやPushの自動化まで実現している。

将来的にはコンテナで新機能も追加可能なアーキテクチャとなった

 柴田氏は、「GitHub Copilotでブラックボックスだったシステムを可視化することで、全体像を俯瞰でき、移行の方針が立てやすかった」とコメント。一方で、AIに適切なコンテキストを与えたり、出力されたコードの妥当性を判断したりするために、「人間側も技術を磨き続けていく必要がある」と実感したという。

日立製作所:AI-DLCに挑戦!GitHub Copilotを使い倒し、現新比較まで完遂

 3番手は、モダナイゼーションに携わるメンバーを揃えた日立製作所だ。同チームでは、AIが開発プロセスの中心となり人間は意思決定に専念する開発手法「AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)」に全員で初挑戦。レガシーCOBOLの暗黙知をAIエージェント主導で形式知化することを目指した。加えて、Azureネイティブな構成で稼働までやり切ること、GitHub Copilotの機能を使い倒してハッカソンを楽しむことを目標に掲げている。

日立製作所 池田夕太郎氏

 実際にAI-DLCの思想に則り、GitHub Copilotの解析結果を人が承認するプロセスを採用。加えて、管理者エージェントと6つのサブエージェントからなるマルチエージェントを編成して、タスクの自動化を推進した。2台のPCで並行してAI-DLCのサイクルを回し、出力のゆれを軽減する工夫も凝らしている。

 アーキテクチャでは、言語・実行にJava 25+Spring Batchを採用し、実行基盤は常時稼働のLinux VMからサーバーレスのContainer Apps Jobsへと移行した。COBOLの暗黙知的な構造と制御を、Java/Spring Batchの明示的な設計へと翻訳し、業務ロジックは変えずに設計の「型」だけを刷新している。「業務ルールと数値の一致は勘定系システムの大前提。逐語移植せずに再設計し、非機能要件はフレームワークの標準機能で置き換えた」(日立製作所・池田氏)

Java・Azureのアーキテクチャに刷新し、GitHub ActionsとBicepによるIaCベースの自動デプロイも

 最終的には、全ての機能をAzureにデプロイし、勘定系のコア機能の現新比較テストをするところまでを完了。AI-DLCの実践については、形式知化は体験できたものの、その評価・検証にまで至らなかったのが心残りとなった。学びとしては、クラウドネイティブ化における設計の難しさを痛感したという。「保守性・拡張性に優れた疎結合な設計になっていることが重要。制限内で動かすという視点から最終的には妥協を迫られたが、将来的に拡張できる設計を心掛けた」(池田氏)

 ただ、目標通りGitHub Copilotの主要機能をフル活用し、楽しみながら開発を効率化できたという。AI-DLCに積極的に挑戦した結果、ハッカソン終了後に公開されたチーム別のAI利用量では、日立製作所がトップを記録した。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  2. 2位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

  3. 3位

    ITトピック

    「原則出社」命じる企業とテレワーク社員の意識ギャップ/“推し活依存”自覚するZ世代が2割/シニアの利用が盛んな○○アプリ、ほか

  4. 4位

    sponsored

    専門家が分析するSCS評価制度・153項目 中小企業に最適な対策のアプローチは?

  5. 5位

    sponsored

    高齢者をポットで見守る「みまもりほっとライン」 25年続く「サービスの温もり」とは?

  6. 6位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  7. 7位

    データセンター

    600km超離れたデータセンター間でシステム全体を「完全自動復旧」 日立・NTTドコビジらが実証に成功

  8. 8位

    ビジネス・開発

    フィジカルAIの突破口、「現場データ」を価値に変えるソリューション

  9. 9位

    TECH

    「SCS評価制度」取得を目指す中堅・中小製造業のリアル 富士工業が考える「セキュリティは経営に役立つのか」の答え

  10. 10位

    TECH

    【提言】AIエージェントの“暴走”を防ぐには 安全なAI業務活用には対策が不可欠

集計期間:
2026年08月26日~2026年09月01日
  • 角川アスキー総合研究所