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「フィジカルAI」の進捗もリスクが障壁で最下位に

1年経っても生成AIの“成果創出”で足踏みする日本企業 PwCの6カ国比較にみる“分岐点”

2026年06月18日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 PwC Japanグループは、2026年6月10日、「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」の結果を発表した。日本企業の87%が生成AIを活用する一方で、その効果を「期待以上・期待通り」とする企業の割合は6カ国中で最下位となった。これは1年前の前回調査と同様の傾向だ。

 PwCコンサルティングの執行役員 パートナーである三善心平氏は、「生成AIの利用率は他国と同等の水準にあるが、効果に対する評価は“日本だけ低い”状況が生まれている。さらに日本は、効果発現までの時間軸も長めに見積もるなど保守的」だと指摘した。

PwCコンサルティング 執行役員 パートナーの三善心平氏

日本の弱みは、生成AIを“効果創出”“還元”へつなげる設計にある

 PwC Japanグループの生成AIに関する実態調査は、2023年5月から実施されており、今回で6回目。今回は韓国を追加した6カ国を対象に、企業の生成AIに対する意識変化や、活用および効果創出の現状を比較している。

 なお、日本の調査は2026年2月、売上高500億円以上の企業で生成AI導入に関与する課長職以上の932名を対象に実施。他の5カ国への調査はその翌月、同条件の従業員に対して行われた。

 同調査で生成AIを「活用中」とした日本企業は71%、「推進中」は16%で、合計87%だった。この数字は、2025年春の前回調査と比べて11ポイントの増加。また「未着手・断念」は4%と、前回調査の9%から半減している。

自社の生成AI活用の推進度合い

 しかし、生成AIを活用・推進中と回答した企業のうち、「成果が期待を大きく上回っている」は10%、「期待通りの効果があった」は54%と、効果を実感している企業は合計64%であり、前回調査の61%からほぼ横ばい。国別で比較すると、前回調査と同様に、突出して効果を実感している企業が少ないのが現状だ。

「活用中・推進中」の層における自社での生成AI活用の効果

 また、生成AIの施策実施から「1年以内の効果発現」を見込んでいる企業は、米国およびドイツは66%、英国は64%であるのに対し、日本では41%にとどまる。効果創出の「スピード感」においても、他国との意識差が見られる。

生成AI施策実施から効果発現までの想定期間

 他にも、生成AIで得た効果を従業員や顧客への「財務的還元」につなげているとした割合も、日本は6カ国のなかで最も低い40%で、反対に「還元を未実施」が19%と突出して高い。効果創出後の還元まで含めた設計が課題となっている状況だ。

 総じて、日本企業でも「生成AI活用は進んでいる」ものの、「効果創出・還元へつなげる流れに弱さがある」という結果が得られている。

フィジカルAIの進捗も最下位、背景には“リスクに対するスタンスの差”

 生成AIの「ユースケース」についても比較している。

 日本が他国に比べて多い用途は、「報告書やメールなどの文章執筆」「文章の添削や校正」「報告書や議事録などの要約」「社内外資料の生成」といったテキスト系の活用だった。

 その一方で、「音楽や音声の生成」「イメージに沿った動画の生成」「プログラムコードの生成」「自律的対話型タスク実行」で利用率が最下位となり、クリエイティブやシステム開発、新規ビジネスへの応用での活用が進んでいない。

生成AIのユースケース

 日本は、利用するAIモデルが1つだけの企業が多いのも特徴だ。6カ国共通で生成AIの効果が期待を上回るとする企業は、3つ以上のAIモデルを利用している割合が多くなっている。

 また、生成AI活用の次なるステップである「AIエージェント」においても、新たな差が生まれつつある。AIエージェントを「導入済み・導入を進めている」とする日本企業は33%と最も割合が低く、米国は59%、英国は55%、中国は48%に達している。

 日本の成長機会になるとの見方が強い「フィジカルAI」も同様の傾向で、日本企業は19%にとどまり、米国の53%、英国の44%、中国の42%、ドイツの33%と比べて、大きな遅れが見られる。

 三善氏は、「日米ともに、フィジカルAIの導入障壁として、『安全性・事故』『生産ライン・業務への影響』を挙げる企業が4割を超えている。だが、米国ではこうしたリスクを認識した上で、それを管理し、導入検討を進めている」と指摘した。

フィジカルAI導入の障壁

 日本企業を対象とした、業界別動向も分析している。

 特筆すべきなのが「サービス・接客業」であり、生成AIに対して「ビジネスの存在意義が失われる脅威」「業界構造を根本から変革するチャンス」との回答がいずれも40%台という高い水準に達している。

 「アバターやチャットボット、ロボティクスの導入により、『新たな接客体験』や『人手不足の解決』を期待する声がある。その結果、生成AIの登場がチャンスでもあり、脅威でもあると感じていることがわかる」(三善氏)

 また、テクノロジー業界は、チャンスと捉えている企業が43%と多く、逆に自動車業界は、脅威と感じている企業が全体平均を上回る水準となっている。さらに、不動産業界では、チャンスも脅威も10%の回答率で、生成AIの影響を受けにくいと認識していることが示された。

日本国内における業界別の動向

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