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柳谷智宣の「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」 第62回

「有料プランなら安心」ではない。生成AIから情報を流失させないために約款を確認しよう

2026年06月19日 10時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第62回は業務上のセキュリティ確保のために生成AIの約款について解説する。

生成AIに入力するデータの扱いは必ずチェックすべし

 生成AIを業務に導入する企業が増えている。資料作成、議事録の要約、メール文面の下書き、企画の壁打ちなど、使いどころは多い。すでに現場では、正式導入を待たずに個人アカウントで使い始めているケースもあるだろう。

 ただし、業務で使うならAIの性能や料金だけを見ていては危ない。入力したデータがどう扱われるのか、学習に使われるのか、どの国に保存されるのかといった条件は、サービスやプランによって大きく異なるのだ。そのため、生成AIの業務利用を開始する前に、まず利用規約やプライバシーポリシーなどの約款を確認する必要がある。

 たとえば、営業担当者が商談メモをChatGPTに貼り付け、提案書のたたき台を作ったり、人事担当者が面談記録をClaudeに入れて要約する。企画担当者が未発表の新サービス案をGeminiに読み込ませ、競合比較を作る。どれも便利な使い方だが、入力した情報がどの条件で扱われるかまで把握していなければ、あとで問題になる可能性があるのだ。

 特に誤解されやすいのが、「有料プランなら安全」という思い込みだ。生成AIサービスは、個人向け、法人向け、API経由でデータの扱いが変わる。個人向けの有料プランでも、初期設定では入力内容が学習に使われるケースが多い。学習に利用されないようにオプトアウトできることもあるが、条件が付くこともある。

Claudeの規約は英語で3万文字近くある

 一方、法人向けプランやAPIでは、初期設定で学習に使われないと明言されていることが多い。つまり、ChatGPTだから安全、Geminiだから危ない、といったサービス単位の判断ができないのだ。

約款の違いを比較してチェックできる「主要AI約款比較」

 チェックすべきは学習利用だけではない。入力データを人間がレビューする可能性はあるのか。削除したデータはどのくらい残るのか。DPA、つまり個人データなどの処理条件を定めるデータ処理契約を結べるのか。データが保存される国や地域を選べるのか。出力した文章や画像の権利はどう扱われるのか。顧客情報や契約書、社外秘資料、応募者情報などを扱うなら、こうした項目をチェックしなければならない。

 とはいえ、担当者が各社の利用規約やプライバシーポリシーなどを一つずつ読み込むのはかなり大変だ。ChatGPT、Claude、Geminiだけならまだしも、GrokやGensparkなど、社内で話題に上がるサービスは増えていく。さらに約款は一度読めば終わりではない。生成AIサービスは機能追加や料金改定のスピードが速く、データの扱いも変わりうる。導入時に確認した条件が、半年後も同じとは限らない。

 そこで、紹介したいのが「天秤AI Biz byGMO」の「主要AI約款比較」サービスだ。各サービスの約款を横断的に見比べ、法人利用で確認すべき項目を一覧で整理できるのだ。

「天秤AI Biz byGMO」のウェブサイト。「無料お試し」から試用できる

 「主要AI約款比較」は、法人向けサービス「天秤AI Biz byGMO」の機能として提供されている。画面では、ChatGPT、Claude、Gemini、Grok、Gensparkなどの主要AIサービスを横並びにし、プランごとの約款上の違いを確認できる。

 使い方はシンプルだ。まず、比較したいサービスやプランを選ぶ。検索欄からサービス名やプラン名を探せるほか、「法人プランのみ」で絞り込むこともできる。最大12プランまで同時に比較できるので、自社で利用候補にしているAIをまとめて並べられる。

主要AI約款比較ページ。チェックしたいプランを選択する

 まずは、個人プランも含めた状態で検索してもらいたい。ChatGPT、Claude、Gemini、Grok、Gensparkの個人プランは無料有料含めて、学習はオンになっていることがわかるだろう。

 比較項目は入力データの学習利用、オプトアウト、データ保持期間、人間レビュー、第三者提供、セキュリティ認証、暗号化、保管リージョン、準拠法など。判定は○△×で表示されるため、どこが良好で、どこに条件付きの注意があり、どこがリスクになりやすいのかを一目でつかめる。

 各項目には評価理由の説明があり、参照した原文リンクも用意されている。社内で「なぜこのプランなら使ってよいのか」「なぜ個人アカウントでは顧客情報を入れてはいけないのか」を説明する材料になるだろう。

学習利用だけでなく、様々な約款の内容を一覧で把握できるのは便利

判定の根拠になった理由や、参照した原文へのリンクも用意されている

 無料で利用できる個人向けの「天秤AI」でも、ChatGPTの情報だけは閲覧できるようになっている。まずは画面の雰囲気や、どんな項目が整理されているのかを確認してみよう。すべての比較を見るにはアカウントが必要だが、天秤AI Bizには無料使用期間も用意されている。導入前の調査や、社内ルール作りのたたき台として試すには十分だろう。

「天秤AI」でChatGPTの情報を確認できる

 念のための「お約束」として記載するが、本比較表の判定は最終的な法的助言ではない。実際に業務データを扱う前には、各社の原文、自社の契約、業界規制、顧客との取り決めを確認する必要がある。それでも、複雑な約款を読む前に全体像をつかめる価値は大きい。興味のある人は一度チェックしてみることをおすすめする。

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