「Knowledge 2026」で語られた“感知・判断・実行・保護”のポートフォリオ拡充
AIエージェントを野放しにしない ― ServiceNowは“AI司令塔”で自律とガバナンスを両立
2026年05月14日 08時00分更新
米ServiceNowは5月5日からの3日間、ラスベガスにて、同社最大のイベント「ServiceNow Knowledge 2026」を開催した。
ServiceNowが現在注力するのが、AIエージェントの管理領域である。本イベントの2日目の基調講演では、プレジデントでCPO 兼 COOを務めるアミット・ザヴェリー(Amit Zavery)氏より、AIエージェントを企業全体で安全かつ確実に動かすための青写真が披露された。
キーワードは「Sense(感知)」「Decide(判断)」「Act(実行)」「Secure(保護)」の4つ。同社では、開発ツールからデータ基盤、セキュリティ・ガバナンスまでを一気通貫でカバーするAIエージェント時代のポートフォリオを拡充中だ。
AIでビジネス成果を得るのに不可欠な“司令塔(Control Tower)”
生成AIおよびAIエージェントの進化は目覚ましく、ザヴェリー氏は、「AIエージェントは日常に浸透し、さらにセキュリティを根本から変えつつある」と切り出す。
このAIエージェント時代の中で、ServiceNowの製品ポートフォリオは拡大を続けているが、「働く人々にテクノロジーの力を届ける」という原点は揺るがないという。世界がワークフローという概念を語り始める前から、業務に潜む複雑さを見抜き、人・システム・データをつなぐプラットフォームを築いてきた。そして現在、「AIで企業のあらゆる業務領域に成果をもたらしており、再び市場をリードする立場にある」とザヴェリー氏。
特に、AIエージェントの活用が進むにつれ、その管理のあり方が問題になる。ベンダー各社がそれぞれAIエージェントを提供する中で、企業内ではAIエージェントが「つぎはぎ状態」で乱立するとザヴェリー氏は予想する。実際に、「AIでビジネス価値を得られている企業はわずか19%にとどまる」という。一方で、それらの企業はAIエージェントで2.5倍の成果を上げ、二極化が進んでいるような状態だ。
ザヴェリー氏は、AIエージェントで成果を得るためには、「ガバナンスが組み込まれた統合プラットフォームが必要」だと強調する。これがServiceNowが狙う領域であり、AIを管理する「AI Control Tower」を中核にSense(感知)・Decide(判断)・Act(実行)・Secure(保護)の4要素を備えるポートフォリオを構築する。「データ、AI、ワークフロー、セキュリティをひとつのプラットフォームに集約することで、ビジネス変革にとっても司令塔(Control Tower)の役割を果たす」(ザヴェリー氏)
ここからは、感知・判断・実行・保護の4つの柱で発表された製品・戦略を見ていく。
開発の民主化(実行):Build AgentとFluentによる開発体験
ザヴェリー氏が最初に紹介したのが「Act(実行)」だ。ここでは、近年同社が注力する“開発体験”を刷新している。「プロトタイプと本番の間には危険なギャップがあり、われわれがそれを埋める」(ザヴェリー氏)
ServiceNowのネイティブ開発環境である「ServiceNow Studio」には、コーディングエージェント「Build Agent」が統合され、ServiceNowの開発に特化したAI主導の開発体験を提供する。ServiceNow SDK経由で外部ツール向けのコアスキルも提供しており、これを活用するモダンコーディングフレームワーク「Fluent」も用意する。
加えて、ビルドスキルとプラットフォームの知識をオープンソース化しており、開発者はClaude CodeやVS Codeなど使い慣れた外部ツールでFluentのプラグインを有効にするだけで、自然言語でServiceNowアプリを構築できるようになる。
デモでは「ペット保険のアプリへの福利厚生機能の追加」を例に、アプリの雛形生成、サンドボックス環境への自動デプロイ、Build Agentによる自律型AIエージェントの追加、テストスクリプトによる本番準備、そして本番リリースまでの一連の開発フローが実演された。バイブコーディングの簡易さと、ServiceNowプラットフォームのガバナンス・セキュリティ・コンプライアンスがそのまま適用される点が、この開発環境の特徴である。
デモ後、ザヴェリー氏は、「Otto(ServiceNowがイベントで発表した新しい対話型UI)、Build Agent、そしてコーディングツールが一体となることで、エンタープライズグレードのアプリを高速にリリースできる」とまとめている。
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