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金融ビジネス戦略「Vision 2030」の進捗をAWSジャパンが共有

AWSで「モダナイズ」や「AI実装」を進める金融機関 三井住友信託銀行やアフラックの先進事例

2026年04月21日 07時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 金融機関において、ミッションクリティカルなシステムのAWS移行や、同基盤で生成AI・エージェントの実装に着手する動きが相次いでいる。三井住友信託銀行やアフラック生命保険も、こうした取り組みに注力する企業のひとつだ。

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、2026年4月14日、同社の金融ビジネス戦略「Vision 2030」に関する説明会を開催。ゲスト登壇した上記の2社からは、AWSによるマイグレーションやAI活用の現状、AWSを選択した背景などが語られた。

(左から)アマゾンウェブサービスジャパン 常務執行役員 金融事業統括本部 統括本部長 鶴田規久氏 / アフラック生命保険 取締役専務執行役員 CDIO 二見通氏 / 三井住友信託銀行 執行役員 岡松参次郎氏

三井住友信託銀行:“ものづくり”を表現できるAWSでクラウドネイティブ化・AIレディ化を推進

 まずは、三井住友信託銀行のAWS活用の現状だ。信託銀行は、通常の銀行業務に加え、資産管理や不動産仲介、証券代行といった、顧客ニーズに応じた少量多品種の信託サービスを提供するのが特徴であり、いわば「モノづくり」に近いビジネスだという。

 同行の執行役員である岡松参次郎氏が語ったのは、AWSに「戦略的ベット(Bet)」をするという決断だ。信託ビジネスの「モノづくり」を表現するインフラとして、ベストな選択だった。

 その理由は、少量多品種のビジネスがAWSのビルディングブロックとして提供されるAWSサービスと親和性が高く、IT環境や開発・運用プロセスの標準化を促進できる点にある。なにより、「ビルダー文化やカスタマー・オブセッション(顧客第一主義)といったAWSの文化が、我々のものづくりへのこだわりと合致したから」だと岡松氏。

三井住友信託銀行 執行役員 岡松参次郎氏

 同行はこれまでも、AWSの活用を段階的に高めてきた。フェーズ1では、監視やバックアップなどの統制基盤を構築し、業務アプリケーションなどを移行するIaaSとしての活用から始めた。フェーズ2では、クラウドネイティブなサービスを標準として定め、最重要と位置付ける顧客元帳の移行を決断している。そして現在、ほぼすべての情報システムがAWS上で稼働している状況だ。

三井住友信託銀行でのAWS活用の歩み

 そして、“戦略的ベット”と呼ぶフェーズ3では、より同行に最適化されたクラウドネイティブ化やAIレディ化を目指していく。そのために、AWSとの共創組織である「All-Out Cloud Factory」を発足。同組織では、「標準化」「プラットフォームエンジニアリングの構築」「AI・DBMSの集約によるデータ利活用環境の整備」を柱に活動を進めていく。

 同組織の最初のプロジェクトが、実際の顧客元帳のマイグレーション(Exadata→Amazon Aurora(PostgreSQL))における生成AIサービス「Amazon Bedrock(Bedrock)」の活用だ。「マイグレーションのノウハウが反映されたBedrockを活用することで、迅速化や効率化を図ると共に、今後の標準化推進の“橋頭堡”にもしたい」(岡松氏)

All-Out Cloud Factoryの発足

 AWSの思想や哲学は、技術だけではなく人材育成にも活用している。2026年4月にグループのシステム会社である三井住友トラスト・システム&サービスを統合するのを背景に、AWSのカルチャーを学ぶためのプログラム「Tech Journey」を実施。延べ2000人弱が参加するなど、モノづくり精神の浸透を図っている。

組織変革に向けた人材育成への取り組み

アフラック生命保険:“Bedrock AgentCore”でAIエージェント環境を整備

 続いて登壇したのが、アフラック生命保険の取締役専務執行役員 CDIOである二見通氏だ。同社は現在、デジタル技術を主体としたDXから、AIを企業の中核能力に据える「AX(AIトランスフォーメーション)」への転換を始めたところだ。AXとは、単なる効率化にとどまらず、AIとの協働を前提に業務や商品開発、組織、人材、さらにはカルチャーまで、あらゆる領域を“再創造”する取り組みである。

アフラック生命保険 取締役専務執行役員 CDIO 二見通氏

 こうしたAXの中で推進するのがAIエージェントの実装であり、それを支えるのがAIエージェントの構築・運用のためのマネージドサービス郡「Amazon Bedrock AgentCore(AgentCore)」である。説明会では2026年内に実装予定の3つのエージェントが披露された。

 1つ目は、保険会社にとって重要な「支払査定業務」を高度化するエージェントだ。支払可否判断や査定結果入力といった作業を、専門性を持った複数のエージェントが実行するマルチエージェントで、最後は人が意思決定する設計となっている。AgentCoreのIdentityやPolicy機能の認証・権限管理によってセキュリティも担保されている。

支払査定業務のエージェント

 2つ目の「契約保全事務」を効率化するエージェントは、AgentCoreのGateway機能によって、オンプレミスの業務システムとの連携が特徴だ。3つ目の「コンタクトセンター業務」のエージェントは、AWS外のデジタルヒューマンアバターと連携して24時間365日の顧客体験を実現する。

契約保全事務のエージェント

コンタクトセンター業務のエージェント

 アフラック生命保がAWSを選択する理由は、安全性と俊敏性だという。「AWSはエンタープライズに対して安全・安定のシステムを提供してきた実績があり、さらには、全世界のベストプラクティスが反映された多様なサービスが高頻度でアップデートされる」と二見氏。さらに、AWSのプロフェッショナルサービスと充実したAIサービスによって、AX推進のための開発に注力できる。

 今後はAIエージェントの導入を加速していくと共に、2027年にはオープン系システムをフルクラウド化、2028年にはメインフレームのモダナイゼーションを達成する計画だ。さらには、AWSとAIをハブに、ライフサポートサービスのエコシステムを形成する「ライフパートナープラットフォーム」の進展を目指していく。

AWS活用の今までとこれから

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  • 角川アスキー総合研究所