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F1はもはや「レースを見ない」時代に? 鈴鹿サーキットで気づいた若者と女性の観戦スタイル

2026年04月04日 12時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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Netflixが火付け役。急増する若者と女性ファン

 もうひとつ「若い人や女性」が増えたのも、ここ最近のF1における特徴といえる。最大の理由はNetflixで配信されている「Formula 1:栄光のグランプリ」というドキュメンタリー番組の影響だと言われている。

※写真提供:HRC

 Netflixのドキュメンタリーは、F1ドライバーやチーム代表の素顔(かなりの演出があるが)に迫ったものであり、これまでF1レースを見たことがない人も興味深く視聴できる内容となっている。

 そのおかげで、アメリカを中心にF1人気が爆発し、いまアメリカではテキサス、マイアミ、ラスベガスという、年間3つのサーキットで開催されるほどとなっている。

 今年、新たにF1チームが1つ増えたのだが、それもキャデラックというアメリカの自動車メーカーだ。ホンダが今年、F1に再参入した一方、トヨタは「GAZOO Racing」としてHAASというチームをサポート。また、アウディも今年F1チームとして参入している。

 いずれも、F1が特に人気となっているアメリカ市場を強く意識したといわれている。

 その昔、日本でF1を見ようと持ったら、衛星放送やケーブルテレビを契約する必要があった。しかし、DAZNなどアプリで見られるようになったこともあり、テレビではなく、スマホでF1を視聴する人たちが増えてきた。

 今年になってアメリカでは、アップルが独占的にF1中継を配信。日本ではフジテレビが独占的に放送、配信をするようになった。フジテレビとしては、地上波でダイジェストやニュース番組でF1を紹介しつつ、FODという配信サービスの顧客獲得の流れを作ろうとしている。

「レースを見ない」新しいファン層と企業のSNS戦略

 F1の視聴層が変わりつつある現状をF1チーム側はどう見ているのか。

 HRC(ホンダ・レーシング)でHRC-UK 広報・マーケティング戦略担当を務める鈴木悠介氏は「新しいF1ファンの特長として“レース自体を観ない人”が意外と多い。毎戦フルでレースは観戦せず、YouTubeで配信されるダイジェスト版をチラ見する程度。むしろ、SNSでドライバーやチームの情報を追いかけるといった、F1をカジュアルに楽しむ層が増えている」と語る。

HRC-UK 広報・マーケティング戦略担当 鈴木悠介氏

 SNSでF1を楽しむ、そうした若い世代にリーチしようと、自動車メーカーだけでなく、さまざまな企業がF1チームにスポンサーをしたり、コラボレーションをしているのが、ここ数年のF1のトレンドでもある。

 ITや金融関連企業として、グーグル、レノボ、クアルコム、AMD、IBM、Claude、VISA、マスターカード、アメリカン・エクスプレス、Revolutなど、挙げればきりがない。今年の日本GPではゴジラがHAASとコラボレーションしているのが印象的であった。

 企業側とすれば、F1というメディアからSNSを経由して、若い層に自社のブランドを届けたいという狙いがある。

 Netflix以前のF1といえば「クルマやレースが好き」という人が支えてきた。

 自分も1989年の日本グランプリで、フジテレビが中継した「アイルトン・セナとアラン・プロストがシケインで接触事故を起こしたレース」からF1にのめり込むようになった。当時、ホンダエンジンは圧倒的に強く、セナとのコンビで連勝しまくっていた。フジテレビがF1を盛り上げたことで、日本でF1ブームが起きた。セナプロ時代だけ、F1を観ていたという人も多い。

※写真提供:HRC

 しかし、いまの若い人に「セナプロ時代は強かったホンダ」と言っても、ちんぷんかんぷんだろう。ではホンダは今のF1で、若い人に対して、どのようなメッセージを発信していくつもりなのか。

 鈴木氏は「私見にはなるが、若い層はそもそもクルマへの興味が薄い傾向がある。若い人に対してはいきなり強いメッセージを発信するのではなく、まずはホンダのHマークを覚えてもらい、ブランドを認知してもらうことが大事」と語る。

 若い人たちがクルマを購入するタイミングになったときに「ホンダ」を思い出してもらえるか。F1に参戦する自動車メーカーたちは、SNS上でも熾烈な戦いをしているようだ。

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

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