前回、キヤノンの「PowerShot 30周年」を特集したけれど(祝・キヤノン「PowerShot」30周年! ともに歩んだ30年、ファインダー越しの猫たち)、2026年に30周年を迎えるデジカメはキヤノンだけではない。1996年は各社がデジタルカメラに参入しはじめた年でもあるからだ。
というわけで、30周年記念特集の第2弾行きます。それはソニーの「サイバーショット」。初代「サイバーショット DSC-F1」は、レンズ部が回転する斬新で画期的なデザインだった。デジタルならではのカメラの姿を提案してきたのだ。
とはいえ、初代機はさすがに35万画素で画質的にもツラいので、ある程度進化したところからいってみよう。
斬新な「回転レンズ」で魅せたFシリーズ
初代サイバーショットのデザインを受け継ぎつつ、大きく進化した1999年の「DSC-F55K」だ。200万画素になり、メモリースティックに対応したモデルである。もちろん回転式レンズを活かしたローアングルショットで、水道の蛇口からポタポタ落ちる水を舐めようとしている猫を。
続いて登場したのが、それに輪をかけてシュールなデザインで、レンズが5倍ズームになったと同時に巨大なレンズに小さな回転ボディーがついたとしかいいようがない、「F505シリーズ」である。
そこから2代目F505である「F505V」を。こちらもせっかくのデザインを活かして、地面すれすれローアングル撮影である。
このF505の系統は、そののち「F707」「F717」、そして2003年の「F828」で終焉を迎える。最後のF828は高性能だが、非常に巨大になってしまったのが残念である。このF505系のデザインは、個人的に一番好きだったといって過言じゃないので、当初のコンパクトなデザインで復活しないかな、とひそかに思っております。
オーソドックススタイルと薄型「Tシリーズ」の台頭
2000年頃から、もうちょっとオーソドックスなスタイルの製品も出てくる。斬新なデジタルならではのスタイルより、オーソドックスなカメラスタイルの方が人々に受け入れられたのだ。
そのヒット作が「DSC-P1」をはじめとするPシリーズ。2000年に登場したP1を皮切りに、5年ほど続いた。左側面がレンズに合わせて丸くデザインされたのが特徴だ。その中から2003年発売の「P100」で撮った公園の猫を。この公園、今は1匹も居ないけど、この頃はいつ行っても何匹かがゴロゴロとくつろいでたのだった。
2003年にはその後のサイバーショットのイメージを決定づける、超薄型のTシリーズが誕生する。薄型軽量のみならず、レンズカバーをシュタッと下げると電源が入って撮影するというギミックも印象的でヒット作となった。のちにCMOSセンサーに切り替わってTXシリーズとなり、2013年まで続いた。
その中から、「T30」で撮影した公園猫を。実はひとつ前の写真と同じ公園である。ここへ遊びに行くと人なつこい猫が何匹もおり、結構頻繁に通うようになって、やがてここの猫たちを世話している猫ボランティアのおばさまと顔見知りになり、その縁で保護された猫をひきとったこともある。
この写真、左上の猫の耳にオレンジ色の小さな玉がついている。これは耳ピアスで、去勢した印だ。今は耳をカットするのが主流だが、20年前は耳ピアスという印もあったのだ(ただ、耳ピアスはいつのまにか取れてしまうということで使われなくなった)。
2004年からは新しいWシリーズがはじまる。これはのちにCMOSセンサーに切り替わってWXシリーズとなり、長く続いたオーソドックススタイルのコンパクトなカメラだ。
Wシリーズからは2005年発売の「W7」を。公園の大人しい猫と遊んでるのは小学生の女子たち。しょうがないなって顔で、触られても触られてもじっとしてるキジトラがなかなかいい。猫は子供を嫌うのだが(不用意にずかずかと寄ってきたり、走って追ったりするからだろう)、このキジトラはいじられても平気で、このあとこの3人に猫と一緒の記念写真撮らされました。もう当人たちは覚えてないだろうな。
デジカメ黄金期の異端児と高倍率ズーム
2000年代半ばはコンパクトデジカメの黄金期といっていい。毎年性能が上がり、多種多様な製品が登場し、各社とも年に2回製品発表会をしていたくらいだ。サイバーショットも新しいシリーズがどんどん出た。
その中で、1代限りで終わってしまったが忘れてはならない超ハイエンド機がある。なんと、APS-Cサイズのセンサーを搭載した「R1」だ。液晶モニターが背面ではなく上部についていて、それを手前に起こして使うという斬新なデザインと、高画質と24mm相当からのズームレンズの組み合わせは非常に素晴らしく、今から思えばレンズ一体型ミラーレス一眼って感覚の製品だった(もっともこの頃はまだミラーレス一眼はなかったけど)。
ただ、後継機がなかったということは、斬新すぎてあまり受け入れられなかったということなんだろうけど、好きなカメラでありました。
2005年に登場したのは高倍率ズームレンズを搭載したHシリーズ。特にCMOSセンサーを搭載したHXシリーズは長く続いた。
TX、WX、HX、RXとXがついたのはCMOSセンサー搭載のシリーズ。2009年に登場し、徐々にCCDセンサーから置き換わっていったのだった。
この中では高倍率ズームのHXシリーズが実用性が高かった。せっかくの高倍率機なので望遠で撮った猫を。半分だけ顔を出してこっちをじっと見ているところがいい。HやHXシリーズで撮った猫写真はたくさんあったが、望遠に強いHXならではってことでこれをチョイス。
スマホ時代に突入し
大型センサーの「RXシリーズ」へ
だがしかし、スマホカメラの登場と普及により、サイバーショットシリーズも徐々にラインナップが縮小していき、主力機が大きなセンサーを搭載したRXシリーズにシフトしていくのだった。
最初のRXは1型センサーを搭載した「RX100」。このシリーズ、同じデザインコンセプトを受け継ぎつつ、途中でポップアップ式ファインダーというユニークな機構も取り入れつつ、RX100 VIIまで進化した。
RX100シリーズからは、初代機のRX100で撮った無防備猫を。両前足でばんざいしてお腹を撫でられるがままという、なんともいえない堕落っぷりがいい感じである。
1型センサーを搭載しながらコンパクトで気軽に撮れるというソニーらしいシリーズがRX100。この無防備にもほどがある姿があまりに面白くて採用。2012年6月 ソニー サイバーショット DSC-RX100
RX100と同じ2012年に登場した超ハイエンド機が、35mmフルサイズセンサーを搭載したハイエンド機「RX1」。これはコンパクトで超高画質というなかなかすごいコンパクト機。
冒頭写真がそれだ。ひと味違う高画質なので(何しろフルサイズセンサーなのだ)、冒頭で使わせてもらった。
実は、最新のサイバーショットが2025年に登場した「RX1R III」。一番新しいモデルが高価な超ハイエンド機ってのが、今のご時世であるなあとは思う。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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