AI時代の電力危機を「光」で救う! NTTの次世代通信基盤「IOWN」が描くエコで爆速な未来
2026年03月05日 17時00分更新
スペインで開催中のMWC Barcelona 2026(MWC26)において、NTTは次世代通信基盤「IOWN」に関する最新の展示を行なった。
AI時代の電力危機に立ち向かう「光」の技術
近年、AIの需要が急速に高まったことにより、データセンターの消費電力急増が社会的な課題となっている。NTTはこの課題に対し、IOWNの光技術を活用した低消費電力かつ低遅延のデータセンター構築を進めている。2023年にデータセンター間を光で結ぶ取り組みを行ったNTTは、現在その方向性をデータセンターの内部へと向けている。
2025年には「IOWN 2.0」としてサーバーのボード間を光で接続する技術を開発し、これによって消費電力を大幅に削減できることを確認した。さらに先のロードマップとして、「IOWN 3.0」ではパッケージ間の光接続に向けた開発を進めている。
2032年には、パッケージ内のダイとダイの間までも光で結ぶことを目指しているとのこと。最終的にデータセンター内のあらゆる通信を光化し、極限まで電力消費を下げることを目標に開発を進めているそうだ。
圧倒的な省電力と低遅延を実現する「PECスイッチ」
NTTのブースでは、データセンター内で使用するハードウェアとして「PECスイッチ(Photonics Electronics Convergence Switch)」を紹介。 PECスイッチは、中央にスイッチングチップを配置し、それを取り囲むようにプラガブルな光電融合デバイスが組み込まれた構成をとる。
従来のネットワークスイッチと異なり、ほかのチップの直前まで光で信号を伝送し、ごくわずかな隙間の部分のみを電気信号で処理する。電気を使用する部分を減らすことで、電気信号の伝送に伴う電力損失を排除し、スイッチ全体の低消費電力化を実現する仕組みだ。
現在展示されているPECスイッチは102.4Tbpsのキャパシティを持ち、2027年早期の商用版リリースを目指している。開発にあたっては、ブロードコムなどの協業ベンダーと連携して取り組みを進めている状況である。また、電気を使用する部分が減少することは、発熱量の低下にも直結する。
現在のデータセンターでは熱処理が大きな課題となっているが、既存のメタル配線と比較して電気を使う部分が少ないため、その分配熱も低く抑えられるという。
ハードとソフトの融合でデータセンターを最適化
NTTが提案する次世代データセンターは、データセンター内をPECスイッチで光化し、さらにデータセンター間をAPNで結んで全体を光化するもの。ここではハードウェアの進化のみにとどまらず、ソフトウェアによる高度な制御を組み合わせる。
たとえば、GPUを大量に必要とするタスクが発生した場合、ソフトウェアの制御によってワークロードを別のデータセンターへ動的に移動させ、GPUを即座に割り当ててタスクを実行可能にする。
逆に、稼働率が低く少ししか使っていないデータセンターが存在する場合、その処理を別のデータセンターに集約させる。空になったデータセンターはシャットダウン、あるいは電源をオフにすることで、システム全体での消費電力を最小化する。ブースのデモでは、マドリード側からロンドン側へ移動させるといった説明が行なわれていた。
このように、ハードウェアとソフトウェアの両面から低消費電力のデータセンターを提供するのがNTTの狙いだ。
初期投資の壁を越え、消費電力1/100の未来へ
IOWN自体は革新的な技術である一方で、既存のメタル配線からの置き換えには価格などの壁が存在する。しかしながら、導入の最大のメリットとして、データセンター運用における電力コストが下がるという明確なアドバンテージがあるとのこと。初期投資の課題を越え、省電力化による運用コスト低減の優位性をいかに市場へ示していくかが、普及に向けた鍵となりそうだ。
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