レイトレーシングの画質を改善する
「FSR Ray Regeneration」
リアルタイムレイトレーシングやパストレーシングにおける最大の問題は計算コストの高さだ。この計算コストを下げる方法のひとつに、追跡する光線(レイ)の数を極限まで絞り込むというものがある。
ゲーム画面の視点、つまり仮想的なカメラから画面の各ピクセルに向かってレイを飛ばすとしよう。そのレイが(ゲーム内の)壁に当たって反射し、その反射光が床に衝突すると仮定する。レイが当たった先の材質によっては、レイはいろいろな方向に飛び散る。ただこの処理を完璧に実行しようとすれば計算量が爆発するため、どこかで計算をストップする必要がある。
つまりリアルタイムレイトレーシングでは最小限のレイで描画されたノイズだらけの画像からキレイな画像を生み出す、すなわち「デノイズ」と呼ばれる処理が重要になる。従来デノイズ処理はノイズののった領域をボカしながら補完する技法が使われていたが、残像やディテール潰れといった問題が出やすい。そこでこれをAIで解決しようとしたのがNVIDIAの「DLSS レイ再構成(Ray Reconstruction)」であり、AMDのFSR Ray Regenerationである。
GPUOpenに掲載されているサンプルより引用。レイトレーシングで描画を終えた直後、デノイズ処理をかける前はこのようなノイズだらけの映像である。特に奥側の壁は到達するレイが少ないため、ノイズまみれになりやすい
FSR Ray Regenerationは2026年2月下旬時点において「Call of Duty: Black Ops 7」のマルチプレイヤーモードでのみ対応している。レイトレーシングの設定と密接に絡んでいるため、ゲーム内でレイトレーシング反射を利用しない限りは設定することはできない。
Call of Duty: Black Ops 7での設定。レイトレーシングを使った反射表現、つまりレイトレーシングリフレクションの項目をオンにすると選択可能になる。Radeon RX 9000シリーズを搭載しAMD Software 25.12.1以降を導入済みであれば、FSR Ray Regenerationがデフォルトで有効になる。「デフォルト」は従来技法によるデノイズ処理を意味する
Call of Duty: Black Ops 7:解像度フルHD、画質「極限」+FSRクオリティー設定、レイトレーシングリフレクション「高」、デフォルトデノイザー利用時の例。画面中央付近、床に映りこんだキャビネットのディテールやキッチンの天板に映りこんだ反射のディテールに注目
FSR Ray Regenerationの効果がわかりやすい部分を拡大しGIFアニメにした。映り込みがぼやけている方がデフォルトのデノイザー使用時、ハッキリとしている方がFSR Ray Regeneration使用時となる
ただしFSR Ray Regenerationは反射の表現だけを改善するわけではない、ということに注意したい。反射にしか効果がないように見えるのはCall of Duty: Black Ops 7のレイトレーシングが反射表現のみに使われているからであって、影や環境遮蔽に使われているならそちらにも効果が見込める(はずだ)。今後FSR Ray Regenerationの採用例が広まれば、もっと違った効果が確認できることになるだろう。
Call of Duty: Black Ops 7:FSR Ray Regenerationの例。青いトラックのフロントグリルや荷台とキャビンの接続付近への映り込みに違いが出ているが、それ以外の領域には差異が認められない
最後にCall of Duty: Black Ops 7でフレームレートを検証する。解像度フルHD、画質「極限」、FSRはFSR 4のクオリティー設定、フレーム生成(AI)も有効化。ゲーム内蔵ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
FSR Ray Regenerationを利用するとAI処理が入る分フレームレートは下がるが、差は非常に小さい。Call of Duty: Black Ops 7のようなeスポーツ性の高いゲームでレイトレーシングが必要か? という問いもあるが、オプションが存在することはいいことだ。







