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AMDのゲームテクノロジーセット「FSR “Redstone”」解説。新GPUが出なくてもソフトは劇的に進化する

2026年03月07日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

提供: 日本AMD

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旧世代を切り捨て、画質向上に舵を切った「FSR 4」

 次に簡単にFSR 1〜FSR 3までの進化の過程を振り返ってみよう。FSR 3ではフレーム生成が最大の追加要素だが、ここではアップスケーリング機能だけに注目している。

FSR 1:最初のFSR。単なる空間的(Spatial)アップスケーラーであるため、現フレームの情報だけを利用する。ドットのチラ付きが発生しやすいため、高品質なアンチエイリアスの併用が不可欠

FSR 2:前フレームの情報も利用する時間的(Temporal)アップスケーラー。動きの激しいシーンはやや苦手だが、FSR 2それ自体がTAA的な挙動をするためFSR 1よりも画質は向上した

FSR 3:FSR 3.1でドットのチラつきやゴーストがFSR 2よりも軽減される

 時間的アップスケーラーとなったFSR 2では、DLSSと同様にメタ情報、すなわちモーションベクターや深度・色情報などを加味して処理する。だがFSR 2は非AIの数理的アルゴリズムで動いている。つまりFSR 2〜3はAMDの職人的なチューニングによって進化してきた。その結果FSRはDLSSに画質において劣るという評価をされることもある(主観に左右される話なので、常にDLSS>FSRとなるわけではない)。

 これを克服するために生まれたのが、AIを組み込んだ「FSR 4」である。FSR 4はFP8のネイティブ演算に対応したAIアクセラレーターを必要とするため、動作にはRadeon RX 9000シリーズ(以降)が必要となる。

FSR 4はFSR 3に対応したゲームであればAMD Software上でスイッチをオンにするだけでオーバーライド、つまり「自動的にアップグレード」される。ただし動作にはRX 9000シリーズ以降のRadeonが必要だ。この図において「AMD FSRアップスケーリング」と記されているスイッチをオンにすればいい

FSR 4における処理の流れ。FSR 4のAIは高品質なレンダリング結果を教師としてトレーニングしたもの。同社のMI300Xなどがトレーニング用に使われている。ゲームを動かすPC上では、低解像度でレンダリングしたフレームとメタ情報をAIによって処理し高解像度のフレームを得る。図右手にある点線から右はフレーム生成の処理を示している

 FSR 4の学習モデルについては、海外メディアのインタビューに対しAMDが「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とトランスフォーマーのハイブリッド」と答えたという情報がある。しかしその一方で昨年流出したFSR 4のソース解析からCNN(U-Net)のみであるという主張もある。いずれにせよAMD発の公式文書では具体的な仕様を確認できないため、「現時点では謎」としておきたい。

「Cyberpunk 2077」はFSR 2〜4をゲーム内で切り替え可能という珍しいゲームだ。RX 9070 XTを搭載した環境において、解像度フルHD、画質「レイトレーシング:ウルトラ」、FSRは「クオリティー」とした時の画質を比較してみよう。フレーム生成はオフである

Cyberpunk 2077:FSR 2クオリティー設定時のクローズアップ。ポスターの左上に入っているロゴや左下の文字に注目

Cyberpunk 2077:FSR 3クオリティー設定時。ロゴや文字の輪郭が滲んでいる。今回試した中では最も画質が眠い

Cyberpunk 2077:FSR 4クオリティー設定時。FSR 3よりは確実に画質は向上しているが、文字の見え方に関してはFSR 2と大差ないように見える。そんなバカな!?

先の例ではFSR 2とFSR 4の見分けがつかなかったので、このシーンでも比較してみよう。右手に見える矢印のネオンサインに注目する。テスト条件は先ほどのテストと同じだ

Cyberpunk 2077:FSR 2クオリティー設定時のクローズアップ。矢印は3本のネオン管で構成されていることが分かる。ネオン管がどう走っているかまで判別できるのは凄い

Cyberpunk 2077:FSR 3クオリティー設定時。ネオン管の一部が崩れ、あるいは潰れてしまっている

Cyberpunk 2077:FSR 4クオリティー設定時。3本のネオン管で構成され、かつ管の細さ表現はダントツである。しかし矢印の斜め線の部分に滲みが出てしまった。細部の再現性ではFSR 2より上だが、完全勝利とは言い難い

 FSR 2〜4を使用した場合、フレームレートにどう影響するのだろうか? 本稿では以下のような機材で検証している。GPUドライバーは最新のAMD Software 26.2.1を使用した。Resizable BARやSecure Boot、メモリー整合性やカーネルモードハードウェア強制スタック保護、HDRなどは一通り有効化、ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 9 9950X3D」 (16コア/32スレッド、最大5.7GHz)
CPUクーラー EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「B850 LiveMixer WiFi」(AMD B850、ATX)
メモリー Micron「CP2K32G64C40U5B」 (32GB×2、DDR5-5600)
ビデオカード ASRock「Radeon RX 9070 XT Taichi 16GB OC」(Radeon RX 9070 XT、16GB GDDR6)
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe Gen 5)
Silicon Power「SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe Gen 4)
電源ユニット ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(25H2)

 ここでの検証は先の画質比較と同条件である。つまり解像度フルHD、画質「レイトレーシング:ウルトラ」、FSRはクオリティー設定だがフレーム生成はオフとした。ゲーム内蔵ベンチマーク再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測している。フレームレート計算は「msBetweenDisplayChange」基準とした。

Cyberpunk 2077:1920×1080ドット時のフレームレート

 FSR 2とFSR 3はほとんどフレームレートが変化していないが、FSR 4はAI処理が絡む分若干フレームレートが低下する。とはいえ下げ幅は4%程度。少々フレームレートが低下してもいいから画質を引き上げたい、という場合に使用するといいだろう。

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