“止められない”工場やインフラ施設を守る OTセキュリティの第一歩
三菱電機のNozomi Networks買収は業界に一石を投じるか
OTセキュリティベンダー5選 ネットワーク系ベンダー vs 専業ベンダーで群雄割拠
2026年02月12日 11時00分更新
パロアルトネットワークス:IT・OT連携の“ITマネージドOTセキュリティ”を推進
大企業や公共機関を中心に国内の実績を有するパロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)も、OTセキュリティに取り組むベンダーのひとつだ。
同社はこれまで、単一プラットフォームにセキュリティソリューションを統合する「プラットフォーム戦略」を推進してきた。OTセキュリティもその一部であり、IT側からOTセキュリティを管理する「ITマネージドOTセキュリティ」のアプローチをとる。
この戦略に基づき、次世代ファイアウォールを中核とした基盤にOTセキュリティに必要な機能を集約して、運用の複雑化を防ぐ。グルーバルのプロファイル情報や脅威インテリジェンスを活用したクラウド解析によって、OT環境へ影響を与えず、OT資産の可視化、異常検知、リスク評価を可能にする。
さらに、全社SASEによって、IT環境や工場からクラウドへのアクセス、リモートメンテナンスなどを含む全社的なゼロトラスト基盤を構築できる。最終的には、全社SOCによって、IT・OTを横断したセキュリティ対応、運用の省力化・自動化まで実現できるのがパロアルトネットワークスの強みである。
OPSWAT:セキュリティ要件が厳しい重要インフラに強み
“重要インフラ”に特化してソリューションを展開するのがOPSWAT(オプスワット)だ。重要インフラ企業を中心にグローバルで2000組織以上の導入実績があり、日本では、特に公共機関への採用が先行し、自治体の65%に浸透しているという。
同社のOT環境向けのセキュリティは、OT資産の可視化や脆弱性管理を担う「MetaDefender OT Security」を始め、OTネットワーク向けのファイアウォールやリモートアクセス、エアギャップ環境の端末や持ち込み機器の検査ソリューションまで取り揃える。同社の強みは、独自のファイル無害化技術「Deep CDR」や30種類以上のアンチウィルスエンジンによる「マルチスキャン」技術であり、OTの検査ソリューションなどに活かされている。
2025年には、物理制御により一方向の通信のみを許可するデータダイオード「FEND」を国内で販売開始。双方向通信はできないため適用範囲は限られるが、セキュリティ要件が厳しい環境に適したネットワークセキュリティ機器である。
Nozomi Networks:国内OTセキュリティ市場に一石か
最後に紹介するのは、2026年1月に三菱電機による買収が完了したばかりのNozomi Networksだ。同社は、米ガートナーが2025年に新設した「CPS Protection Platforms(サイバーフィジカルシステム保護プラットフォーム)」のマジック・クアドラントにおいて「リーダー」と位置づけられるOTセキュリティ企業だ。
同買収は、三菱電機にとって過去最大規模となり、データ活用を通じてビジネスを創出するデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」の強化が狙いにある。なお、Nozomi Networksは、三菱電機の完全子会社化後も独立して事業を継続。買収前から展開する日本市場への投資も加速していく方針だ。
ソリューションとしては、パッシブ/アクティブなスキャンでOT資産を可視化するネットワークセンサー「Guardian」、無線LANを悪用する脅威を防ぐワイヤレスセンサー「Guardian AIR」、エンドポイントプロテクションセンサー「Arc」を提供し、そこに管理オプションや拡張機能が加わる。
こうしてグローバルで評価される専業ベンダーの活動が本格化することで、日本市場にも変化を促す可能性がある。2025年11月に開催された説明会において、日本担当カントリーマネージャーである芦矢悠司氏は、「(日本市場において)OTセキュリティが、『投資ではなくコスト』と捉えられている現状は変わっていない。ひとつひとつの案件も欧米諸国と比べると小規模。市場は盛り上がっているが、ほとんどの企業が未着手の状態」と指摘している。
次回は、特集の最終回としてOTセキュリティを扱うSIer企業を紹介する。










