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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第143回

AIエージェントが書いた“異世界転生”、人間が書いた小説と見分けるのが難しいレベルに

2026年02月09日 07時00分更新

文● 新清士

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人間が書いた文章と見分けるのは難しい

 Antigravityが便利なのは、さらに画像や動画のベースとなるプロンプトの生成までが可能であることです。まず、「画像生成AI「Nano Banana Pro」で判明した“ストーリーボード革命”」 でご紹介したストーリーボード作成のプロンプトをテンプレートとして登録します。

 そして、キャラクターのプロンプト生成をして、各キャラクターの参照画像を作ります。その上で、第1話のストーリーボードのプロンプトの生成を指示します。これにより、大まかなストーリーに合わせた画像を生み出すことで別の楽しみ方もできます。これを元に、挿絵にしたり、動画に広げていくことも可能でしょう。画像はAntigravity内でも生成できるのですが、生成枚数に制限があるため、プロンプトだけ作成し、他のサービスを利用して生成しています(今回はHailuo AI)。

第1話のストーリーボードイメージ

第12話のストーリーボードイメージ

 文庫本一冊の三分の一にあたる執筆にかかったのは、試行錯誤を含め1日程度です。10万字を書くことは、すぐにできてしまうでしょう。面白いと評価できるかは、悩ましいところです。

 ただ、これほどの水準になってくると、人間が書いた文章と見分けをつけることはかなり難しいと感じます。「不自然な文体」で見抜けるかというと、人間も不自然な文章を書くので、簡単には判断できません。人間が手を入れて、不自然な点を推敲すれば、なおさら区別は難しいと感じます。

 自分が書いた小説かというと、その実感は強くはありません。自分で書いていないので、記憶からすぐに剥落してしまう感じがあります。ただ、ストーリーが自分が指示した方向でリアルタイムに作られていく面白さはあります。一方で、画像生成などと組み合わせると、インタラクティブ小説を読みながら作っているという、新しい読書体験のようにも感じます。あえて例えるならば、TRPGのゲームマスターに似ているでしょうか。

 自分ですべてをコントロールしているわけではなく偶然に任せている面もありますが、確実にコントロールしている側面もある。AI小説が、どのように社会の中に入っていくのかは、まだ見えませんが、単なる小説を超えて、別メディアとして広がる予感を持ったりもしています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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