白幡社長らが、技術・信頼・人と社会における取り組みとその先を語る
AWSジャパンの次なる支援策は“フィジカルAI” 東京リージョン15周年で加速する投資戦略
2026年01月29日 11時00分更新
信頼への投資:インフラからネットワーク、チップ、AIエージェントまで
信頼性への投資に関しては、常務執行役員 技術統括本部長である巨勢泰宏氏から説明された。
まず語られたのが、AI・クラウドのワークロードを支える“堅牢な”インフラについてだ。この堅牢さの中核となるのは、国内複数リージョン(東京・大阪)およびリージョン内での複数アベイラビリティゾーン(AZ)による冗長化である。
ただ、クラウド利用が広がるにつれて、物理レベルでネットワークを革新する必要に迫られた。そこで2024年に発表されたのが、従来のガラスではなく空孔で光を伝搬させる「ホロコアファイバ(空孔ファイバ)」だ。情報通信の遅延や損失を緩和する技術であり、2025年からデータセンターネットワークに実装され、遅延速度を30%改善している。さらには、AZの距離的な制約を緩和して、AZの増設にもつなげていく。
なお、グローバルネットワークは、冗長化された独自の光ファイバで相互接続され、ここ1年でネットワーク基盤を50%拡張し、陸上および海底ケーブルの長さは900万キロメートルを超えている。
この広大なグローバルネットワーク基盤を守るのがネットワークセキュリティだ。リージョン間のトラフィックはすべて暗号化され、毎日1億以上のインタラクションを分析して、脅威を自動検知している。さらには、数十億ノードのグラフモデルで、毎日12.4万の悪性ドメインを検出し、毎日70億件の不正スキャンを観測して、最速で1秒以内にシャットアウトする仕組みが構築されている。
このように蓄積されている脅威インテリジェンスは、セキュリティサービスの強化やプロアクティブな防御に活かされている。「AWSの目標は明確で、AWSと顧客を“割に合わない”標的にすること。これにより、サイバー攻撃そのものを減らして、セキュリティの好循環を生み出す」と巨勢氏。
加えて、巨勢氏がAWS史上最も重要な決断だったというのが、EC2の仮想化に用いられる「AWS Nitro System」である。ベースとなる独自のNitroチップは製造時に固有の秘密鍵が埋め込まれ、チップの製造品質からソフトウェアの起動プロセスまでの信頼性を公開鍵暗号方式で担保する。「この仕組みが従来のサーバーやデータセンターを超える最高水準の安全性を実現する」(巨勢氏)
Nitroの仕組みはプロセッサーにも拡張されており、プロセッサー間の通信やNitroとのPCI通信まで、すべての重要通信がハードウェアレベルで暗号化されている。
AI領域では、デジタル主権に対応するAIインフラストラクチャ「AWS AI Factories」が登場している。顧客のデータセンター内に専用のAIインフラを展開できるサービスで、「プライベートなAWSのリージョンのように機能する」(巨勢氏)という。最新のTrainium Ultra ServerやNVIDIA GPU、Amazon BedrockといったAWSサービスにアクセス可能だ。
こうした信頼性の高いインフラ上で構築できるAIエージェントついても触れられた。エージェントは自律性が強みな一方で、予測できない動きが懸念点として残る。こうした課題を解決する機能を提供するのが、AIエージェントの構築や展開、運用を支援するマネージドな機能群「Amazon Bedrock AgentCore」だ。
AgentCoreでは、安全なスケールと展開のための機能、エージェント基盤としてのツール群、監視と評価のための仕組みを取り揃える。2025年10月の一般提供の開始から新たに、ツールやデータのやりとりをリアルタイムに制御できる「AgentCore Policy」と行動パターンを可視化して品質を評価できる「AgentCore Evaluations」の機能が加わっている。
最後に巨勢氏は、「信頼性の獲得には重労働を伴う。ビジネスの差別化につながらない重労働をAWSが受け持つことで、顧客はビジネス価値に直結する活動に集中できる」と語った。














