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訪日外国人は「洋式」、日本人は「バリアフリー」

トイレ検索アプリで訪日外国人は「洋式」を探す、では日本人は?

2025年12月24日 12時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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 外出先で「今すぐ使えるトイレ」を探す行為は、誰にとっても切実だが、その切実さの中身は人によって異なる。慣れない土地を訪れた観光客と、日常的に街を利用する生活者とでは、トイレに求める条件も、情報の探し方も同じではない。

 社会課題解決型トイレマップ「TOIMAP」を運営するKICKsは、TOIMAPにおける検索ログデータの分析結果を公表した。

 今回の分析は2025年8月から12月にかけて同アプリ内で利用された検索データを対象としたもので、言語設定の違いによってトイレに求められるニーズが大きく異なる実態が浮かび上がった。

 分析の結果、英語設定のユーザー、いわゆる訪日外国人観光客は「女性用」や「洋式」といった検索フィルターを多く利用しており、全体のおよそ6割を占めたのに対し、バリアフリー設備の検索はごく一部にとどまったという。

 一方で日本語設定の国内ユーザーでは「車椅子」や「オストメイト」などのバリアフリー関連フィルターが約4割を占め、検索ニーズの中心が大きく異なることが確認された。

 これらの結果から、日本国内におけるトイレ情報の検索行動は訪日外国人と国内利用者で明確に分断されていることが示された。

 また、TOIMAPでは2025年11月、従来の日本語・英語に加えて中国語(簡体・繁体)、韓国語、フランス語、スペイン語、ベトナム語など計11言語への対応を開始している。

 多言語対応後には英語以外の言語設定によるアクセスが確認され、各言語で「日本のトイレの使い方」に関するページ閲覧も観測されたことから、インバウンド需要の多様化がデータ上でも裏付けられたという。

TOIMAP

 KICKsはこうした検索データを匿名化・分析した結果を自治体に提供することで、例えば「インバウンドのために洋式化を進めるべきエリア」や「バリアフリー設備が不足しているエリア」といった実際のニーズに基づく政策立案、いわゆるEBPM(証拠に基づく政策立案)を支援する考えを示している。

 これにより、訪日観光客には安心して利用できるトイレ情報を、国内ユーザーには確実なバリアフリー情報を届けることをめざすとしている。

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