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田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第43回

ChatGPT最新「GPT-5.2」の進化点に、“コードレッド”発令の理由が見える

2025年12月17日 18時00分更新

文● 田口和裕

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最近のChatGPTに追加された主な新機能

 モデル性能の向上と並行して、ChatGPT自体の機能拡張も着実に進んでいる。ここでは、この数ヵ月で追加された主な新機能をまとめて見ていこう。

グループチャット──複数人でAIを共有

 11月13日、OpenAIは「グループチャット」機能の試験提供を開始した。日本、ニュージーランド、韓国、台湾の4か国が先行地域で、無料プランを含むすべてのログインユーザーが利用できる。11月20日には全世界への段階的展開が発表された。

 これは、最大20人が1つのチャットに参加し、ChatGPTを「メンバーの一人」として共同作業できる機能だ。たとえば友人と週末旅行を計画するとき、グループチャットを作れば、全員が参加する会話の中でChatGPTが行き先の比較や旅程作成をサポートしてくれる。職場なら、同僚と一緒にアウトライン作成やリサーチを進める、といった使い方が想定されている。

既存のチャットから人を招待したり、新規作成したりできる

 面白いのは、ChatGPTが会話の流れを読んで「今は自分が発言すべきか」を判断する点だ。常に割り込んでくるわけではなく、必要なタイミングで自動的に応答する。個人のメモリ(記憶機能)はグループ内で共有されないため、プライバシーも保たれる設計だ。

ショッピングリサーチ──購入検討をAIが代行

 11月24日には「ショッピングリサーチ」機能が追加された。これは、買い物の下調べをChatGPTに丸投げできる機能だ。

 たとえば「小さなアパート向けの、できるだけ静かなコードレス掃除機を探して」「予算10万円以内のポータブルゲーミングPC」といった曖昧な依頼を投げると、ChatGPTが追加の質問(予算、重視する機能、誰向けか、など)を投げかけながら条件を絞り込み、ネット上の複数サイトから価格・在庫・レビュー・スペックを調査して、数分で「パーソナライズされた購入ガイド」を作成してくれる。

必要に応じ追加質問が表示される

複数サイトを横断調査して候補を提示。価格、スペック、評価を比較した購入ガイドを作成

 この機能はショッピング用途に最適化された専用モデルで動作しており、広告的な情報や低品質サイトを避けつつ、高品質なレビューサイトやRedditなどのユーザー体験談を優先する設計になっているという。過去の会話やメモリ機能も活用するため、「ゲーム好き」を知っていればノートPC選びに反映する、といった個別最適化も施される。

 現時点では外部サイトへのリンクを提示する形だが、将来的にはChatGPT上で直接購入できる「Instant Checkout」も計画されている。OpenAIはホリデーシーズン期間中は、ほぼ無制限に近い形で提供するとしており、年末商戦のタイミングに合わせた投入となった。

Adobe連携──Photoshop、Express、Acrobatが使える

 12月10日、AdobeとOpenAIは「Adobe Apps for ChatGPT」を発表した。ChatGPT上から、Adobe Photoshop、Adobe Express、Adobe Acrobatの主要機能を直接呼び出せるようになった。しかも、ChatGPTの無料プランでも追加料金なしで利用可能だ。

 使い方はシンプルで、チャット欄に「Adobe Photoshop、この画像の背景をぼかして」といった指示を出すだけ。ChatGPTが自動的にPhotoshopを呼び出し、対話形式で編集を進められる。Photoshopでは背景除去、明るさ・コントラスト調整、エフェクト(GlitchやGlowなど)の適用が可能。Expressではポスターや招待状のデザイン作成、AcrobatではPDFの編集・結合・圧縮・変換といった作業ができる。

「Adobe Photoshop、この画像の背景をぼかして」と指示するだけで、ChatGPT内でPhotoshopが起動。背景ぼかし(Shallow depth portrait blur)などのエフェクトを対話形式で適用できる。

 これはOpenAIが10月に発表した「Apps SDK」の仕組みを使っており、ChatGPT内でアプリを直接操作できる。ただし利用できるのは各アプリの主要機能のサブセットで、高度な機能が必要な場合はネイティブアプリに移行して作業を継続する形だ。

 デスクトップ版、Web版、モバイルアプリで対応済み。週間アクティブユーザー8億人のChatGPTユーザー全員が対象となる、かなり大規模な展開だ。

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