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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第322回

アクセシビリティは誰のため? Apple担当者と日本の学生に聞く、テクノロジーと社会の調和

2025年12月09日 07時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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開発者コミュニティと日本市場へのアプローチ

 アクセシビリティ対応は、Apple自身が作る機能だけで完結するものではありません。App Storeの膨大なアプリがアクセシブルでなければ、ユーザーの体験は途中で途切れてしまいます。

 この点について、ハーリンガー氏は開発者向けのサポート体制を強調します。

「社内ではエンジニア向けのアクセシビリティに関するトレーニングや、年次サミット、開発者向けの資料など多数あります。同時に社外の開発者に対しても、アクセシビリティ対応の重要性を伝え、APIを通じて彼らのアプリも、障害のある人々が使えるようにするための活動を行っていますSwiftやSwiftUIを使えば、アクセシビリティ対応のアプリを比較的簡単に作れるようにAPIを設計しています。APIデベロッパーのチームは、最初からアクセシビリティを念頭に置いて設計していますので、他の多くのプラットフォームよりも、アクセシブルなアプリを作りやすい環境になっていると思います」

 また日本市場についても質問しました。日本語は英語と比べて文字種やレイアウトが複雑で、字幕や読み上げでも独自の難しさがあります。

「VoiceOverや点字サポート、そして日本語のライブキャプションなどを通じて、日本のアクセシビリティコミュニティを支援し続けています。日本のローカルチームも本社同様にアクセシビリティに熱心で、政府や学校、開発者の皆さんと連携し、技術が最大限活用されるよう取り組んでいます。また、Apple Storeでの障害者雇用やサポートにも力を入れています」

 さらに、ユーザーからのフィードバック窓口として20年以上運用してきたメールアドレス「accessibility@apple.com」も紹介されました。

 日本からの声もここに集約され、サポートチームを経てエンジニアに届けられていると言います。

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