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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第322回

アクセシビリティは誰のため? Apple担当者と日本の学生に聞く、テクノロジーと社会の調和

2025年12月09日 07時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」

 新機能開発の起点がどこにあるのかという問いに対し、ハーリンガー氏は当事者との共創の重要性を繰り返し強調しました。

「Appleにおける多くの機能は、障害当事者や実体験を持つ人々からの提案から生まれます。私たちは障害のある人々を雇用し、日々フィードバックを受け取っています。『私たちのことを、私たち抜きで決めないで(Nothing about us without us)』という言葉がありますが、その通りだと思います。コミュニティのために“作ってあげる”のではなく、コミュニティと“共に”作ることが不可欠です。」

 具体的には、まず社内の従業員から課題を集め、それだけでは足りない場合には、世界中の外部団体や支援団体、医療グループと協力するプロセスを取っているといいます。

「多くの場合、社内の従業員からの情報収集から始まります。社内だけで不十分な場合は、世界中の外部団体や支援団体、医療グループと協力して、当事者の経験を理解し、できる限り効果的なものを作ろうとしています。もちろん、日本の団体との連携も、日本のチームが行っています」

 このアプローチは、アクセシビリティの理想的な姿として広く共有されているものですが、「誰が声を届けられているのか」「どの地域・属性の当事者が取り残されているのか」といった評価は、今後も外部からの検証が必要な領域です。

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