このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

新清士の「メタバース・プレゼンス」 第135回

実在感が恐ろしいレベル 画像生成AIの常識をひっくり返した「Nano Banana Pro」

2025年12月08日 07時00分更新

文● 新清士

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 11月20日に、グーグルの画像生成AI「Nano Banana Pro」がリリースされました。あまりにも性能が高くて、その上、汎用性も高いために、これまでの常識をまたもひっくり返す存在になりました。SNS上では、画像生成AIの話題はNano Banana Pro一色になりました。その潜在能力の高さから、毎日のように新しい使い方の発見が続いています。なにより、画像生成AIの大きな壁であった同じキャラクターを出し続けられない「一貫性の問題」を完全に乗り越えたモデルと言えます。そのすごさをご紹介します。

使い捨てカメラの画質を再現

 SSSS_CRYPTOMANさんが発見したプロンプトは、Nano Banana Proの潜在能力の高さを示すものでした。プロンプトは「低画質な使い捨てカメラで撮影した1枚の日常写真。日本の高校生が撮影した下手くそな写真。」というものです。これによって、撮影すると、90年代を中心に流行した使い捨てカメラで撮影されたような高校生たちの画像が生成されてきます。

 人物の画像を入力画像として添付して、それを参照するように指定すると、その人物も出すことができます。作例では眼鏡をかけた女の子(「田中さん」というキャラ)を添付しているため、必ず画面に出てきます。自然な写真的な出力を出すと同時に、キャラクターの一貫性が実現されており、同じ人物の実際の写真であるかのように見えてしまいます。

 過去の画像生成AIでは、ここまでの表現力を持つことができたものはありませんでした。ちなみに、人間の目には見えない電子透かしが入っており、GeminiやAI画像のチェックサイトで、Nano Banana Proで作られたかどうかを確認できるようになっています。

Nano Banana Proで田中さんの高校生活の姿を生成した結果。生成サイズは2kで生成されるが誌面の都合上、半分にしてある。もちろん、架空の学校

 生成した画像を動画AI「Grok Imagine」で画像から動画化すると、その存在感はさらに引き上がる動画になります。(参考:xAIの画像生成AI「Grok Imagine」が凄まじい。使い方は簡単、アダルト規制はユルユル

 動画AIでは、入力される画像の出来が、潜在能力を引き出す要因となるため、生成される動画の品質を決める部分がありますが、Nano Banana Proの画像の品質が高いため、動画も品質が高いものが出るようです。

△田中さんの日常風景をGrokで動画化した結果。音声や音楽は独自につけている

△SSSS_CRYPTOMANさんの「使い捨てカメラ」プロンプトを紹介するXへの投稿

 この使い捨てカメラのプロンプトの応用範囲は広く、同じ田中さんの入力画像を与えて、「通学途中に手を振る」、「お母さんとキッチンにいる様子」、「自室にいる様子」と入れてそれぞれ出力すると、それに対応した画像も出てきます。特にキッチンにいる様子は、田中さんのお母さんには親子関係を感じさせるものがあり、また、使い捨てカメラのフラッシュの感じに、いかにも昔のカメラ的な印象の画像をうまく出力しています。

Nano Banana Proで生成した田中さんの自宅風景。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ