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国内ユーザー450万人超えのGitHub、データレジリエンシーでクラウド移行を支援

ドコモグループの「GitHub Copilot」実践知 日々3万件のコード提案で採用率は25%を推移

2025年12月03日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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「Agent HQ」と「データレジデンシー」で国内開発環境の変革を加速

 こうして、ドコモグループにも浸透するGitHub Copilotは、業界に先駆けて2021年6月にリリースされた。当初はペアプログラミングのツールであったが、やがてコーディングエージェントへと進化した。

 GitHub Copilotと合わせて急成長を続けるのが、日本のGitHubの開発コミュニティだ。Copilot投入前の2020年、日本のGitHubユーザーは120万人だった。それから5年間で、日本のユーザーは450万人を越え、世界で6番目の開発コミュニティに成長した。

 さらに、AIへの貢献度ランキングで日本は世界4位であり、「日本の開発者が世界のAIエコシステムを形作っている」とGitHub Japanの角田氏。同社の予測では、2030年までに日本のGitHubユーザー数は1170万人に達し、世界で5番目のコミュニティになると予測している。

 GitHubのアジア太平洋地域担当 バイスプレジデントであるシャリーン・ネイピア(Sharryn Napier)氏は、「われわれは大きな転換点を迎えており、日本の開発者コミュニティは、かつてない速さで拡大をしている。そして、開発者はAIを積極的に取り入れており、GitHubに参加した開発者の80%が、最初の一週でGitHub Copilotを使用始める」と語る。

GitHub アジア太平洋地域担当 バイスプレジデント シャリーン・ネイピア(Sharryn Napier)

 一方で、AIでソフトウェア開発が変わる中で、これまで存在していなかった混乱が生じているという。「現在の状況は、GitHubが誕生する前の開発環境と類似している。コーディングエージェントで生産性は向上したものの、多くの開発ツールは“孤立”している。ツールを一元管理したり、アウトプットを開発フローに統合する方法がない」とネイピア氏。

 この課題を解決するソリューションこそが、2025年10月の本社年次イベントで発表された「Agent HQ」である。これは、「開発者の選択の自由を担保しつつ、AI時代に秩序や可視性、ガバナンスを提供する」(ネイピア氏)ためのビジョンだという。

 同構想の目玉となるのが、分断されたコーディングエージェントの統合だ。AnsoropicやOpenAI、Google、Cognition、xAIといったサードパーティ製のコーディングエージェントが、順次GitHubの開発フローで利用できるようになる。これらのエージェントの費用は、GitHub Copilotの有料サブスクリプションに組み込まれる予定だ。また、新たに用意される「ミッションコントロール」の機能では、複数のエージェントの作業を一元的に可視化や制御、承認できる新しいインターフェースが提供される。

 企業向けにパブリックプレビューが開始された「コントロールプレーン」は、エージェントやモデル全体にわたり、ポリシー管理や監査記録、アクセスコントロールなどを可能にする機能だ。GitHub Copilotの利用状況を可視化する「メトリクスダッシュボード」もパブリックプレビューを開始している。

 その他にも、コード品質を担保するための「コードクオリティ」機能や強化された「Copilotコードレビュー」もパブリックプレビューを展開中だ。

 「日本はテクノロジーにおける信頼性やコンプライアンス、ガバナンスを常に重視してきた。Agent HQが日本の開発環境を大きく変革し、これまで以上のスピードと自信を持ってイノベーションを推進できると確信している」(ネイピア氏)

Agent HQの概要

 また、GitHub Enterprise Cloudにおいて、2026年1月に国内のデータレジデンシーを開始することも発表された。ネイピア氏は、「日本におけるイノベーションの原動力は、AIだけではなくクラウドも担っており、両者が併用された場合の効果は絶大」と語りつつも、「複雑な規制やレガシーシステムが足かせとなり、遅々としてクラウド化が進んでいない」と指摘する。

 こうした状況を受け、データの所在地に厳格な要件を有する企業向けに、レポジトリデータの保管を国内に指定できるデータレジデンシーを提供する。ネイピア氏は、「日本企業は、100%の自信を持ってクラウド移行を進められ、GitHubの生産性と拡張性のメリットを最大限に享受できる」と強調した。

フォトセッションの様子

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