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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第851回

Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ

2025年11月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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MI450はHeliosというラックで提供する

 実は、Instinct MI450の世代ではHeliosというラックが提供されることがすでに公開されている。このHeliosの中身が下の画像で示されている。

Helios。幅広に見えるが、実際には高さが通常のラックより低めなのかもしれない

 このHeliosの中身が下の画像で示されている。Rubin Ultra世代のKyber Bladeのミッドプレーン同様に、配線はMI450やスイッチの裏側にある、縦方向のシャーシ内のバックプレーン基板で接続されるように見える。Kyber Bradeのミッドプレーンは72層基板を使っていると評判だが、Heliosのバックプレーンもこれに匹敵する層数になりそうだ。

Heliosの中身。72枚のGPUがおのおの3.6TB/秒で接続されているとすれば、合計帯域は3.6×72=259.2TBでほぼ260TB/秒になる計算だ

 これを見ると、下の画像のようになるはずだ。要するにMI450同士を直接相互接続しているとスケーラビリティに欠けるので、NVLinkと同様にこちらもインフィニティ・ファブリック・スイッチを間に挟んだのだろう。

 この場合の接続図は下図のようになるであろう。1枚のMI450から9本のインフィニティ・ファブリック・リンクが出て、それが9枚のスイッチにそれぞれ接続される格好だ。この構造は、隣接するMI450同士であってもスイッチを挟むことで2-hopとなり、ややレイテンシーの面では不利ではあるが、その代わり72枚まで規模を2-hopのままで拡張できる。

 トータルの性能という意味では1-hopで相互接続するよりも有利である。同じ理由でNVIDIAもV100に搭載されたNVLink 2からNVSwitchと呼ばれるスイッチを間に挟み込む方式に切り替えている。NVIDIAの場合、Blackwell世代ではカードから100GB/秒のNVLinkが18本出て、それが18台のスイッチにそれぞれ接続される形態だが、AMDは転送速度を高めに取る方向に舵を切った。ちなみにNVIDIAもRubin/Rubin UltraのNVLink 6/7では3600GB/秒と、MI450と同じ帯域になっている。

 一方Scale out Bandwidthであるが、あるいはUALinkをそのまま出せるような工夫がなされている可能性がある。UALinkの最初のバージョンは正式名称がUALink 200G 1.0となっており、仕様にも明確に「物理層は200GBASE-KR1/CR1、400GBASE-KR2/CR2、ないし800GBASE-KR4/CR4に準拠する」と記述されている。

 これらの規格はIEEE P802.3djを基にしており、1レーンあたり200Gbpsの銅配線ベースの信号である。なお、IEEE P802.3djは現在Draft 2.2をベースにまだ標準化作業が行なわれている最中で、標準化が完了するのは2026年9月頃の予定だ。

 要するに1レーンあたり25GB/秒になり、これを12本束ねると300GB/秒になる。こちらは物理層がイーサネットベースなので、200Gbps/レーンをサポートするイーサネット用のスイッチをベースとしたUALink用のスイッチに接続される格好だ。

 実際には12本束ねるというよりも、2本束ねて1レーン(50GB/秒)とし、それを6レーン出すようにするはずだ。こちらはHeliosに隣接するラックにUALinkスイッチを設けて、そこで複数のHeliosラック同士をつなぐ形になるのだと思われる。

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