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サイコムがPCとPCパーツ、補佐委員の派遣で協賛

即戦力級の「パソコン組み立て」技術で世界を目指す!障害者技能競技大会(アビリンピック)の全国大会を見てきた

2025年11月16日 10時00分更新

文● ジサトライッペイ/ASCII 編集●ASCII

提供: 株式会社サイコム

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会場では関連企業ブースやステージイベントも

 ところで、会場では「障害者ワークフェア 2025」も開催しており、関連企業のブースがたくさんありました。そこには、サイコムが協賛しているバリアフリーeスポーツ事業を運営する会社「ePARA」も出展しておりました。

アビリンピック

ePARAさんのブース

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障害者就労支援情報フリーペーパー「ePARA AfterSchool」の創刊号がありました。制作はePARAグループの就労移行支援を利用している障害当事者スタッフも参加しているとのこと

 そんなePARAさんはステージイベントのトークセッションにも参加なさっていました。これがすごく興味深かったです。

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トークセッションでは、ePARAから代表取締役の加藤大貴さん(左)と全盲の格闘ゲームプレーヤー・NAOYAさん(中央)、特定非営利活動法人 障がい者みらい創造センターから理事長である竹内亜沙美さん(右)が登壇しました

 ePARAのNAOYAさん(@noy_0207)は全盲なのですが、なんと音の情報だけで格闘ゲームをプレイされております。NAOYAさんいわく、『ストリートファイター6』だと音だけで相手との距離感や残りの体力ゲージがわかると言います。

 調べてみると、同作は「サウンドアクセシビリティ」という、SEの変化でさまざまな情報が音を通してわかる機能があり、しかもその実装経緯にePARAさんとの取り組みがあるそうです。

 僕は病気の症状で複視(視界が二重に重なって見える状態)に悩まされております。ゆえに、視覚情報から反応を競うゲームはとんとご無沙汰になりました。しかし、そんな機能があるならちょっとやってみようかなという気持ちになりました。

 また、ePARAは視覚情報を一切使用せずに音声だけで状況を判断して戦うeスポーツ大会「心眼CUP」を開催しているそうです。そして、今度は海外でも開催するとのこと。格闘ゲームは全世界で人気のあるジャンルです。ぜひこの日本の取り組みが世界の視覚障害者の希望になればと思いました。

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特定非営利法人 障がい者みらい創造センターが運営する「店員が気まぐれな喫茶ミムロウ」(就労継続支援B型運営)のスタッフがコーヒーを差し入れ

 特定非営利活動法人 障がい者みらい創造センターの竹内さんのお話もすごく感銘を受けました。竹内さんはもともと特別支援学級の教諭をされていたそうで、卒業生の子が「はじめてお給料をもらったよ」とうれしそうに報告してくれることにほほえましくなる一方で、その額の低さに心を痛めることも多かったそうです。

 そんな中、十数年前に自身の難病が発覚。どうせいつか死ぬならせめて教え子のためになにかできないかと、特定非営利活動法人 障がい者みらい創造センターを設立。現在は名古屋で知的障害・発達障害に特化した支援を行っているそうです。

 これを聞いた時に涙が出そうになりました。僕は難病だとわかったとき、ひどく落ち込んだものです。でもそれって自分のことばかり考えているからなんですよね。自分がかわいそうだって。

 でも、一旦気持ちが落ち着くと、残りの人生をどうしようって考えた時に、僕もやっぱり竹内さんと同じように「誰かのために使おう」って思ったんですよね。家族だったり、会社の同僚だったり、読者のみなさんだったり。取引先の方の顔も浮かびました。

 人生はつらいことのほうが多いという人もいるでしょう。しかし、だからこそ明るく生きるための「仕事」が必要だと思うのです。そして、その選択肢は多いにこしたことはありません。僕もいずれ病気が進行し、もっと大変な状況になるかもしれません。

 アビリンピックで懸命にその技能を競う選手の姿は、その時のよすがになるかもしれない。できないことが増えても、新しい技能を身につければ誰かのために働けるかもしれない。そんなことを帰りの新幹線で考えておりました。

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