グローバルの金融商品市場で進むAWSによるモダナイゼーション
JPXが「TDnet」をAWS上でフルクラウド化へ よりクリティカルなシステムでのクラウド活用も検討
2025年11月11日 09時00分更新
グローバルで共通で求められる“信頼”と“理解”
説明会では、グローバルにおける、金融商品市場を中心としたミッションクリティカルな領域でのAWS事例についても触れられた。
例えば、キャピタル・ワン(Capital One)やテメノス(Temenos)、10x Banking、スターリングバンク(Starling Bank)などが、勘定系システムをAWS上で稼働。さらに、サークル(CIRCLE)やイタウ・ウニバンコ(Itau Unibanco)、ブロックファイ(BlockFi)といった仮想通貨の領域にも、AWSの導入が進んでいるという。
そして、極めて低いレイテンシーが求められる金融商品市場においても実績が増えており、代表的な事例がナスダック(Nasdaq)だ。4つのマーケットをAWSのクラウドで稼働しており、今後すべてのマーケットを移行することも公表している。
2025年には、ナスダックとAWSで金融商品市場の近代化に向けたパートナーシップの拡張を発表しており、世界中の取引所に向けてモダナイゼーションの青写真を提示していくと取り交わしている。
AWSのグローバル金融事業統括責任者であるスコット・マリンズ(Scott Mullins)氏は、「金融商品におけるワークフローのあらゆるステップで、AWSが稼働しているのが意義深い」と語る。フィデリティ(Fidelity)は、オーダーマッチングシステムをAWS上で構築し、取引報告や市場監視などの「ポストトレード」や金融データや投資調査などの「プレトレード」も含め、取引所の幅広いワークロードをAWSのクラウドが担っているとした。
マリンズ氏は、12年前にナスダックにてプロダクトマネージャーを務めており、「当時、レジリエントで可用性の高いインフラストラクチャーを構築するのは、非常にコストがかり、選択肢も限られていた。それが、AWSのようなクラウドテクノロジーによって可能性が広がった」と振り返る。
そして、10年前にクラウド利用が始まるが、「とてもじゃないがミッションクリティカルなシステムはクラウドには載せられなかった」とマリンズ氏。「ただ、10年も経たずとして、それが当たり前になってきた」と語る。
加えて、「資本市場では、日本でもグローバルでも変わらず、“トラスト(信頼)”が求められる。この信頼を築いていくには、市場特有の要件や顧客の状況に対して理解を深めることが重要。日本市場においても、信頼を得るため、信頼を維持していくには何が必要か、学び続ける姿勢を維持していきたい」と呼びかけた。
一方、AWSジャパンの常務執行役員 金融事業統括本部 統括本部長である鶴田規久氏は、「今後、グローバルのリファレンスを日本でも積極的に展開する。ミッションクリティカルなワークロードに対する運用面や事前のアーキテクチャー構築などを、特別な体制で支援していきたい」と語った。











