「WalkMe DAP Summit 2025」を開催、NECやServiceNowなどが導入事例を紹介
「DX迷宮」と「トランスフォーメーションの負債」からの脱却を、WalkMe
2025年08月25日 10時00分更新
導入顧客としてNECが登壇、WalkMeの自社導入事例も紹介
それでは、実際の顧客企業において、WalkMeはどのように使われているのだろうか。
基調講演に登壇したNEC CIOの小玉浩氏は、営業、調達、事務処理など、さまざまな職務におけるWalkMe導入事例を紹介した。たとえば営業では、営業担当がSalesforceへの入力に要する時間や入力データの精度に課題を感じていたことから、活用頻度の高い4つの機能にWalkMeを用いた操作メニューを設定した。
「マニュアルは全部で700ページもある。そこで、入力フォーマットや命名規則を統一し、自動遷移の仕組みを入れることで、コア部分では登録工数を2割削減できた。入力ミスも7割減った」(小玉氏)
調達では、SAP Aribaの利用でWalkMeの力を借りた。SAP Aribaは機能が多く、操作パターンも多い。マニュアルは90種類もある状態だ。そこで、WalkMeを用いてユーザーの操作に応じたガイドを表示し、申請時に必要な添付ファイルかどうかの中身をチェックする仕組みを追加したことで、問い合わせ件数は75%減少。さらに、差し戻しの件数は70%削減できたという。
小玉氏は、DXを進めるにあたって「エクスペリエンスは重要だ」と、実感を込めて語った。
リトル氏はWalkMeの自社事例も紹介した。従業員およそ1100人の同社では、2024年1月、人事システムをWorkdayからSAP SuccessFactorsに移行するプロジェクトをスタートした。CIOを中心にITチームが技術面を担当し、4カ月半を費やして準備を行った。データマイグレーションやシステム統合、セキュリティ設定などに加えて、WalkMeコンテンツと自動化機能を実装する作業も行った。
移行準備が完了した週末、Workdayをオフにし、翌週の月曜日にSuccessFactorsをオンにした。何の問題もなく、スムーズに移行できたという。リトル氏は「ユーザー向けの(SuccessFactorsの)トレーニングや準備は一切行っていない。ゼロだ」と強調する。
さらに、移行後2カ月半で発生したサポートチケットも、わずか6件だったという。その後、組織全体がSuccessFactorsを利用しているが、四半期レビュー、ボーナスプロセス、大量の採用活動といった人事の作業を問題なく実行できているという。
リトル氏は、こうした同社の事例は「SAP環境におけるWalkMeのパワーを示すもの」であり、WalkMeの導入は、単なるツール導入の域を超えて「組織の変革能力そのものを向上させる」と語る。
さらにリトル氏は、「WalkMeの展開が成功するためには、タイムリーなコンテンツの提供が不可欠。適切なコンテンツ設計こそが、こうした成果を生み出す基盤となった」と分析する。
ServiceNow:「WalkMeは問題解決プラットフォーム」と評価
導入事例としてもう1社、80以上のアプリケーションでWalkMeを活用しているServiceNowも紹介された。ビデオで登場したServiceNow デジタルアダプション担当ディレクターのクリストファー・クラーク氏は、ServiceNow以前にも組織全体にWalkMeを展開した経験を持つ。
ServiceNowがWalkMeを導入しているのは、社内向けのアプリケーションと、社外向け(顧客向け)のアプリケーションの両方がある。クラーク氏によると、ServiceNowのプラットフォームにWalkMeを統合することで、生産性向上、複雑なワークフローの簡素化、ユーザーアダプション加速、と3つの成果を得ているという。
「従業員、顧客はもちろん、わたし自身も、システムの使い方が分からなかったり、特定のものを見つけられなかったりする技術を使用する際に苦痛を感じ、イライラする。(WalkMeは)このイライラを感じる前に、それをキャッチし、問題を解決することで、イライラを起こしかねなかった体験を、魔法のような体験に変えることができる」(クラーク氏)
具体例として、パフォーマンスレビューなど複数のワークフローで構成されるユースケースでは、ユーザーは複数システムの操作方法を覚える必要がある。使用頻度が少ないと、覚えようというモチベーションも低い。「ユーザーはほとんどの場合、どうやったのかを覚えていない」ため、WalkMeでタイムリーに操作をナビゲートしていると説明する。
合わせて、WalkMeの「隠れた強み」として分析ツールも紹介した。ServiceNowでは、分析ツールを使ってユーザーがシステムをどのように使っているのかを理解し、イライラのポイントも特定しているという。特定のユーザーグループが操作に苦労していることがわかれば、そのグループのみをターゲットにしたWalkMeのソリューションを展開していると語る。
こうしたメリットから、クラーク氏はWalkMeを「問題解決プラットフォーム」と位置付ける。実際に、生産性向上によって230万ドル相当の節約効果が表れていると述べた。










