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AI×SaaSの最前線 kintone・スポットバイトル・freeeが「Amazon Bedrock」を選んだ理由とは?
2025年08月01日 08時00分更新
ディップ(スポットバイトル):人とAIを組み合わせた信頼できる審査体制を目指す
続いて登壇したディップの執行役員 CTO ソリューション開発本部長である長島圭一朗氏は、「スポットバイトル」における生成AI活用を紹介した。スポットバイトルは、「スキマ時間で働きたい人」と「働いて欲しい企業」をつなぐ求人マッチングサービスだ。
長島氏は、生成AI活用を進める背景として、「安心安全な求人」というサービスコンセプトの維持を挙げる。目指すのは、違法な求人・不適切な求人を排除して、ユーザー保護と法令遵守を実現する審査フローの確立だ。
これまでも、正規表現のパターンマッチングと人間によるチェックを組み合わせた審査体制を築いていた。しかし、この審査フローは、判定項目が多岐にわたるため工数がかかり、属人的な手作業があるためスケールしにくいという課題を抱えていた。また、基準のあいまいさにより、最終判断の属人化も進んでいたという。
そこで同社では、Amazon Bedrockを利用して「求人審査支援AIシステム」を開発している。登録された求人原稿を生成AIが分析して、問題のある表現を検出。その結果はデータベースに格納され、BIツールである「Amazon QuickSight」で可視化される仕組みを構築した。
現在はPoCの段階であるが、人間の審査で見落としていた表現ももれなく判定できており、審査品質を底上げできる手ごたえを得ているという。「判定結果をもとに、NG表現の出現傾向を横断的に分析できることも大きい。人が再確認すべき原稿も絞り込むことができ、審査の工数の削減が現実的になってきた」(長島氏)
長島氏はAmazon Bedrockを選択した理由について、既存インフラとの親和性に加えて、「AIモデル選択の柔軟性と開発のスピード感」を挙げる。「複数のAIモデルを選択でき、結果を検証しながら改善を迅速に回せる」と長島氏。
今後、2025年8月には、求人掲載時にAIが自動チェックして、NGと判断した場合は自動で非公開化する仕組みを実装予定だ。「将来的には、エージェント機能との統合でより判定精度を高め、人とAIの力を組み合わせた信頼できる審査体制を確立していきたい」と語った。












