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まずは人に依存しすぎな最上流・最下流工程をAIで加速

テストの次は「要件定義」も自動化 Autifyが仕掛ける仕様やテストのAI効率化

2025年07月04日 11時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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テストに加え、要件定義のボトルネックも解消する「Autify Genesis 2.0」

 アーリーアダプタープログラムを開始したのが「Autify Genesis 2.0」だ。Autify Genesisは、生成AIが仕様書からテストケース・シナリオを自動生成するツールで、2024年6月に1.0をリリースしている。これまで、大手エンタープライズ企業を中心に、20社の導入実績を有する。

 これまで、レガシーシステムのマイグレーションで活用される中では、仕様書が不十分なケースが多く、「もっと網羅的で、AIでも読みやすい仕様書があれば、生成物のカバレッジと品質を高められるのではないか」という気づきが得られたという。

 そこで、Autify Genesis 2.0では、AIがソースコードを解析して、網羅的かつAIが読みやすい仕様書を自動生成する機能を追加。テストに加えて、属人化しがちな要件定義のボトルネックも解消するツールへと進化した。どのような仕様書を生成したいかもカスタマイズでき、基本的にはプログラミング言語は問わず、どのようなアプリケーションにも対応するという。

 さらに、この仕様書を基にテストケースまで生成。1.0からのアップデートとして、テストケースがどういうプロセスで生成されたかなどを、チャットベースで聞けるようになっている。前述のNexusにも仕様書からテストケースを生成する機能があるが、Genesisは、開発全体のコンテキストを加味して、より網羅的にテストケースを生成するのが特徴だという。「仕様書とテストの品質が担保されれば、間の開発プロセスはAIを活用すれば問題ない」というのがAutifyのコンセプトだ。

Autify Genesis 2.0

 要件定義においては、要求仕様から仕様書の作成を支援する機能や仕様変更から影響範囲を分析する機能も開発中だという。

人とAI開発ツールの両輪でソフトウェア品質と開発生産性を変革

 こうして、AI開発ツールを拡充するAutifyだが、「すべてをAIで代替できるわけではない」(近澤氏)という考えだ。

 2024年6月にサービス全体をリブランディングしており、「人とAIの総合力で開発を次のレベルへ」というテーマを掲げ、品質保証の伴走支援サービス「Autify Pro Service」を開始。人とAI開発ツールの両輪で、ソフトウェア品質と開発生産性を変革する事業へと転換した。伴走サービスは、テスト自動化と内製支援に特化しており、支援企業は概ね“自動化率80%以上”を達成しているという。

 このAutify Pro Serviceも、3つのフェーズで品質保証のプロセスを構築支援するサービスに刷新。フェーズ1では、品質保証のプロセスを棚卸し・標準化し、フェーズ2では、AIエージェントを活用できるよう業務を整備する。フェーズ3では、AIによる改善サイクルを定着させる、といった内容となる。

Autify Pro Serviceのリニューアル

 今回Autifyは、人+AI開発ツールで要件定義までカバーすることで、システムインテグレーションの市場へと足を踏み入れたことになる。今後は、基本設計・詳細設計・コーディングといった下流工程にも、AI開発ツールを広げていく予定だ。近澤氏は、「開発プロセス全体を包括するようなエンタープライズ向けのAI開発・AIエージェントシステムを提供していくというのが製品ビジョン」と語った。

エンタープライズソフトウェア開発全体をAIで加速

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