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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第113回

AI丸投げのゲーム開発が超楽しい 誰もがプログラムを作る時代は確実に来る

2025年06月30日 07時00分更新

文● 新清士

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せっかくなので要素をもうちょっと加えてみる

 Claude Codeで色々できることがわかってきたので、もうちょっとややこしいことはできないかなと考えてみました。本格的なノベルゲームを作ると仮定し、もう少し本格的なデモを開発するとします。まず、どのようなツールを使えばいいかをChatGPTに相談しました。

 すると、「Ren'Py(レンパイ)」というオープンソースのゲームエンジンを勧めてきました。これまで使ってきたNext.jsはWebアプリの環境なのでゲームのセーブやロードといった基本機能がなく、それらの機能もすべて開発しなければならないため、本格的なデモを作るにはハードルが高いとのこと。Ren’PyはPythonで作られているため、開発の柔軟性も高いそうです。

 シナリオの展開にパラメーターを絡めて、ゲーム展開が変わるようなものにしたいという指定をしたところ、UI周りの設計までやるとすると「Ren'Py」がよいと提案されました。選択肢によって推理を混ぜていくようなゲームについても可能だと言います。

Ren’Pyの公式ページ。欧米圏で人気があり、様々なゲームで使われた実績がある

 最初にClaudeと作ったのはシナリオです。Claudeは文章を書くのが抜群にうまく、筆者の連載原稿を何本か読み込んで、文体スタイルを学習させると、筆者のような文章を書いてきました。完成していないあらすじであってもClaudeが「気軽に書いてみてください。あとは、私が何とかします!」と言い出したのには笑ってしまいました。実際、未完成のあらすじを渡し、まずは物語として整えてと指示し、さらに「ノベルゲーム用の脚本に変換して」と指示すると、なんとなくそれっぽいシナリオができあがってきました。

 また、ゲーム中に変動するパラメーターについても、アイデアを出しあいました。それを表示するためのUIのヒントがほしい、雑なメモで構わないというので、ラフカットを描き、Claudeに読み込みました。Claude Codeは画像を直接認識できないので、Claudeを使う必要があります。

筆者が作成した3分で書いたUIのメモ。これに説明をつけて補足することで、Claudeは概要を読み取り、Claude Codeに指示するための仕様を作成してくれる

 そのうえで、大体の仕様を作るようにClaudeに指示し、それをClaude Codeに読み込ませ、「その通りのコードを作って」と指示して、作成を始めます。20分あまりの作業が終わり、最初のバージョンが登場しました。作成途中で、プロプランでは使用回数の上限に到達してしまったので、Maxプランに切り替えました。

 これでゲームの最初期バージョンが作られました。

筆者が作成したテックデモの最初のバージョン。テキストアドベンチャーゲームのやり取りができるシステムと、変動するパラメーター、ゲームの推理のためのキーワードといった要素をきちんと備えている。もちろん、まったくコンテンツを入れてないため、画面は非常に地味

 最初は動かなかったり、選択肢がおかしかったりというエラーが起きます。しかし、「ここの部分がおかしかったので直して」と指示を繰り返して修正を勧めていった結果、最終的には問題なく動作するようになりました。女の子のキャラクター画像は入れ込んでいないので、画面は地味です。ただ、裏側に「好感度」などのパラメーターを持ち、選択肢により数値が上下し、それを「感情パラメーター」として、画面上にリアルタイム表示もできます。

 Claude Codeは直接コードを生成して実行環境を整え、バグチェックもしてくれます。GPT単体で作成していたときのような、コピペ作業もなく、いきなり結果が出てきます。そして、プレイ時間5分程度のアドベンチャーゲー厶を動かせるモックができてしまいました。これは確かにすごいと言わざるを得ません。

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